楠田村(読み)くすだむら

日本歴史地名大系 「楠田村」の解説

楠田村
くすだむら

[現在地名]高田町上楠田かみくすだ下楠田しもくすだ

東濃施ひがしのせ村の東にあり、三池郡に属する。飯江はえ川支流楠田川が東から西へ流れる。建武二年(一三三五)の三聖寺嘉祥庵院主処英紛失状案(大友文書/南北朝遺文(九州編)一)に処英相伝領としてみえる「筑後国三池北郷内帝尺寺・(楠)田・野志・野尾井・長坂四ケ村」などの地頭職のうちの「桶田」は楠田のことであろう。三聖さんしよう(現京都市東山区)は京都東福寺の末寺、嘉祥庵はその塔頭であり、東福寺の大檀越九条家の鎌倉時代中期の家領に三毛山門みけやまと庄があることから、三聖寺領の成立はあるいは九条家とのかかわりによるとも考えられる。戦国期までに一時田尻氏領となったらしく、年月日欠の田尻氏所領不知行分坪付(田尻家文書/佐賀県史料集成七)には「代々御判明白之領地」でありながら不知行となっていた地の一として「楠田 八十町」とある。その後田尻親種は楠田のうち四五町分の回復をめざしたとみられ(年月日欠「三池氏等知行坪付」同上)、天文一九年(一五五〇)と推定される八月一七日の太宰府天満宮大鳥居氏宛田尻親種書状(大鳥居文書/大宰府・太宰府天満宮史料一四)によれば、「三池郡於楠田之内」天満宮領一町三反のうち三反が帝釈たいしやく寺によって点札が行われたことについて、「我等事初而儀之条、不知案内ニ候、所詮、親員如時代、至帝釈寺憲法ニ可被仰談事肝要候」としており、この頃楠田の知行が三池親員から田尻親種に移っていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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