改訂新版 世界大百科事典 「横浜生糸取引所」の意味・わかりやすい解説
横浜生糸取引所 (よこはまきいととりひきじょ)
繭糸の取引を目的とした横浜にある商品取引所。その前身である横浜取引所は1894年に設立され,生糸,絹織糸輸出が活況を呈するとともに世界の指標市場として注目さ,また同時に日本経済の景況を測るバロメーター役をも果たした。第2次大戦によって閉鎖されたが,1951年会員組織の横浜生糸取引所として新発足した。取引対象商品は生糸で,生糸検査規則による27中3A格を標準品とする6限月制の先物取引を行っている。戦前の日本は世界の生糸生産のほぼ7割を占め,生産のうち6割前後が輸出に振り向けられていたが,戦後光沢の似た割安のナイロンの出現で国内,輸出とも後退の一途をたどり,1970年代以降は安値の輸入品が出回っている。こうした生糸自体の斜陽化を映して取引所の商いも落ち込んでおり,取引所別,上場商品別でも出来高が低下した。98年10月,前橋乾繭取引所と合併して横浜商品取引所と改称。
→商品取引所
執筆者:米良 周
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報