商品取引所(読み)しょうひんとりひきしょ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

商品取引所
しょうひんとりひきしょ

商品取引所法 (昭和 25年法律 239号) に基づいて設立される会員組織の特殊な法人。1種または数種類の商品の先物取引を行うために必要な市場開設することをおもな目的として設立される。取引所そのものは営利の目的で業務を営んではならないことになっており,商品市場における売買取引の管理などについて法に定められたとおり健全な運営を行い,それによって商品の価格の形成や売買などの取引を公正にするとともに,商品の生産や流通を円滑にすることを使命としている。経済機能の観点からは,複雑な経済界の取引のなかで適正な価格を形成する機能があること,また経済事情の変化に対応していわゆる保険つなぎの役割を果すことができること,商品の処分や資金の融通がしやすいこと,需要と供給の調節の機能を備えていることなどが注目される。対象の商品は商品取引所法により政令で定められているが,綿花綿糸綿布乾繭生糸,人絹糸,スフ糸,毛糸,ゴムなどである。

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デジタル大辞泉の解説

しょうひん‐とりひきじょ〔シヤウヒン‐〕【商品取引所】

農産物・畜産物・鉱物などの特定の商品または商品指数の先物取引を行うために必要な市場の開設を主な目的とする法人商品先物取引法に基づいて設立され、会員商品取引所株式会社商品取引所がある。また、商品取引所が開設する商品市場のことをいう。コモディティーエクスチェンジ。→金融商品取引所
[補説]かつては名古屋・横浜・神戸・福岡などにもあったが、現在は東京商品取引所大阪堂島商品取引所の2か所に再編されている。

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百科事典マイペディアの解説

商品取引所【しょうひんとりひきじょ】

商品取引所法(1950年)に基づいて設立される会員組織の法人で,比較的に品質が均等で大量取引に適する商品の先物(さきもの)取引を行うことを主目的とする。設立するためには主務大臣の許可が必要である。現在,綿糸・繭糸・スフ糸・毛糸・ゴム・砂糖・農産物・金などの取引所が全国に7ヵ所(東京穀物,大阪,横浜,中部,関西,関門の各商品取引所と東京工業品取引所)ある。1990年の改正によってオプション取引,指数先物取引等の新しい取引形態を加え,さらに業界の同意なしに新しく試験的に商品を先物取引の対象にできる試験上場制度が導入された。1999年4月改正商品取引所法で,2004年末の手数料全面自由化を決定。→商品取引員
→関連項目砂糖取引所三品取引所定期取引

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世界大百科事典 第2版の解説

しょうひんとりひきじょ【商品取引所 commodity exchange】


[機能]
 商品取引所は商品市場のなかで最も高度に組織化され,取引の中心を標準品先物取引に置く市場である。先物取引とは,売買を約束した時点で商品を用意していなくとも,いついつまでに受渡しするという条件で売買できる取引である。標準品先物取引とは,ある銘柄を標準品と決め,その標準品を基準にして一定の価格差で受渡しできる銘柄を選んでおいて行う先物取引をいう。 先物取引では,その商品の総代金の1割程度の証拠金を担保として納めれば,商品をもっていなくとも売ることができ,また商品を引き取る考えがなくとも買うことができる。

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大辞林 第三版の解説

しょうひんとりひきじょ【商品取引所】

特定の商品の先物取引を行う市場。また、その開設を目的とする法人。会員組織によって運営される。繊維・ゴム・生糸・砂糖・穀物などの取引所がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

商品取引所
しょうひんとりひきじょ
commodity exchange

商品先物(さきもの)取引法(昭和25年法律第239号。旧法名は商品取引所法)に基づいて設立された、特定の商品または商品指数についての先物取引およびオプション取引を行うための施設。商品取引所の目的は、多数の投機取引によって商品の価格を形成し、売買取引を公正化するとともに、商品の生産や流通を円滑化し、国民経済の適切な運営に資することにある。このような目的を果たすための商品取引所の機能は、(1)敏速・確実な大量取引、(2)公正な先行価格指標の形成、(3)価格の平準化、および(4)価格変動リスクに対するヘッジ(危険回避)にある。最後の点は、価格変動に起因するリスクを先物市場での反対売買(買いつなぎ、または売りつなぎ)によって埋め合わせることであり、そのためこの機能を「つなぎ売買」または「保険つなぎ」ということもある。
 商品取引所で取引される商品(上場商品)は、先物取引に適していなければならない。その条件は、(1)品質が均等で標準品との差が明確につけられること、(2)生産者・消費者の一方または双方が独占できないこと、(3)保存性の高いこと、(4)年間を通じて一般的需要のあること、(5)供給が不安定であること、などである。具体的には、農産物(トウモロコシ、大豆、小豆(あずき)、コーヒーなど)、砂糖、水産物、ゴム、貴金属(金、白金など)、アルミニウム、石油(原油、灯油)などであるが、時代の流れによって追加されたり削除されたりする。
 商品取引所で行われる先物取引は、(1)現物先物取引、(2)現金決済先物取引、(3)指数先物取引、および(4)オプション取引から構成される。現物先物取引は、売買当事者が将来の一定時期に商品と代金を授受することを約束する取引であり、その時期に約束を実行するか、その前に反対売買(買っておいた物を転売する、売っておいた物を買い戻す)して、売買の差金(さきん)を清算することをいう。現金決済先物取引は、特定商品について約束する価格(約定価格)と、将来の一定時での同一商品の現実価格との差額の授受を約束する取引である。現物先物取引との相違点は、現物受渡しの決済ができないことである。指数先物取引は、大豆と小豆を組み合わせた農産物指数のように、共通性のある複数商品の価格を加重平均した指数について、取引当事者があらかじめ約定する指数値(約定指数値)と、将来の一定時期における指数値(毎日所定時間に取引所が発表する数値、理論指数値)の差を、あらかじめ定められた換算値段に従って現金で決済するよう約束する取引である。オプション取引(選択権売買取引)は、将来の特定の日または期間に、特定商品を特定数量・特定価格(権利行使価格、ストライク・プライス)で買う権利(コール・オプション)または売る権利(プット・オプション)を、プレミアムを払って売買する取引である。
 商品取引所の組織は、商品先物取引法によって、一定の会員資格を有する会員によって組織・運営される非営利法人か株式会社組織によると定められている。かつて16あった商品取引所は、大阪堂島商品取引所および東京商品取引所の二つに集約された(2013)。大阪堂島商品取引所は会員組織であり、東京商品取引所は株式会社組織になっている。
 商品取引所で取引できるのは、一定の資格をもつ者に限られる。それは、上場商品構成物品の売買を業とする商社・問屋・メーカー等の市場会員と、客の委託を受けて取引所で取引を行う受託会員(商品取引員)からなるが、このほかに受託会員に委託の取次ぎのみを行う取次者が存在する。市場会員はもっぱら自己の取引のみを行う。商品取引員は、委託を受けた取引とともに自己の取引を行うことができるが、株式会社であること、受託業務を健全に遂行するための財産的基礎をもつことなどの要件が法定されていて、6年ごとに許可を更新しなければならない。委託を受けた売買は、かならず取引所に持ち出して取引しなければならない。売りを委託された商品を自ら買い取ったり、買いの委託に対し自ら保有する商品を売ったりすること(これらを介入権という)は許されない。このような違反行為を、のみ行為という。
 取引所の取引には、板寄せ式とザラ場式の方法がある。板寄せ式は、集団的競争売買で、1日数回、所定の立会時間に多数の売りと買いを集中させ、両者が合致したときの価格(相場)を約定値段とする。ザラ場式は複数約定値段による個別競争売買ともいわれ、互いに相手をみつけて相対で価格・数量を交渉し決定することを連続的に行うもので、全体としては複数の約定値段が形成される。近代化した取引所では、これら取引はコンピュータによって処理される。
 先物取引に関するルールの重要なものとして、限月(げんげつ)、値幅制限、取引証拠金制度がある。限月は約定を実行する期限であり、通常3、6、9、12月の第2金曜日の前日と決められていて、つねに5限月取引が並行して行われ、最長は1年3か月の5限月取引となる。値幅制限は値段の乱高下による混乱を防ぐ措置であり、前日の最終約定値段を基準として商品ごとに一定の上下限を設定している。取引証拠金制度は、委託者が所定の委託証拠金を法定の清算機関(株式会社日本商品清算機構)に預託し、決済履行の円滑化に資することをいう。
 商品取引所の歴史は古い。ヨーロッパでは、1672年アムステルダム取引所の東洋物産取引所に始まり、世界貿易の発達とともに、小麦、綿花、砂糖など国際商品の大規模取引の場として各地に広く普及した。日本では、1661年(寛文1)大坂に開かれた淀屋(よどや)米市が最初であるとされ、1698年(元禄11)大坂堂島に開かれた米場がのちの堂島米穀取引所(現在の大阪堂島商品取引所)の起源となった。第二次世界大戦後、戦時統制経済から自由取引経済への転換の波にのって、多くの商品取引所が設立されたが、つくれば売れる高度成長期には、生産者は商品上場の必要を、流通業者は価格変動に備える必要を感じなかった。このため上場商品の更新が遅れ、投機色の強い場となって、取引所の果たすべき機能が低下した。加えて通信手段の発達は、各地に分散する取引所の存在理由を希薄にした。こうした情勢を受けて、商品先物取引法が数次にわたって改正され、規制から育成へ、委託者保護の強化、監視の強化、取引所の整理統合と近代化が図られるようになった。[森本三男]
『河内隆史・尾崎安央著『商品取引所法』4訂版(2006・商事法務)』

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世界大百科事典内の商品取引所の言及

【アントワープ】より

…それは,ヨーロッパ大陸に輸出攻勢をかけてきたイギリス毛織物の販売の拠点となったこと,さらにインド進出を達成したポルトガルが,その輸入した香辛料をここで売りさばき,代りに東洋向けの銀や銅を仕入れたためである。こうして,この都市にはイギリス,ポルトガル,ドイツ,スペイン,イタリアなど全ヨーロッパの商人が集まり,世界で初めての商品取引所も1533年に完成した。しかし,その後オランダ独立戦争の戦乱,とりわけ85年のスペインへの降伏によって,多くの商人(とくにプロテスタント)はこの都市を棄ててアムステルダムに去り,独立したオランダに海への出口をふさがれて,最盛期10万の人口は4万に落ち,一内陸都市に転落した。…

【商品市場】より

…一定の場所に商品の売手と買手が集まって取引する商品市場は,これに対して具体的な商品市場あるいは組織商品市場と分類できる。特定の日に開かれる木材,家畜などの(いち),干しシイタケ,鰹節,干しのり,荒茶などの入札会,野菜,果実,魚介,生花を中心とする卸売市場,原糸,大豆,ゴム,砂糖などを取引する商品取引所などがそれである。具体的な市場は,法律に基づいて特定の場所(施設)で一定のルールに従って継続して取引する商品取引所や卸売市場(中央,地方)のように高度に組織化された市場と,入札会,せり市,席上(せきじよう)取引,荷受市場など組織化の度合が比較的低い市場に分けられる。…

【農産物市場】より


[農産物市場の類型]
 農産物市場はいろいろな角度から分類されるが,最も基本的には,中継段階に注目しその前後を含む流通機構で類型化される。(1)商品取引所 会員である仲買人が,特定の農産物に関して標準品の先物取引を差金決済方式で行う。価格変動に対してヘッジと投機が同時に行われ,標準価格が形成される。…

※「商品取引所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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