日本大百科全書(ニッポニカ) 「樹上家屋」の意味・わかりやすい解説
樹上家屋
じゅじょうかおく
おもに野獣や外敵から身を守るために樹上につくられた家屋。インドやニューギニア島などの森林地帯にみられる。家屋の形式については方形家屋の一種で、屋根の形は切妻(きりづま)で平面矩形(くけい)単層、床は木の幹やまたを利用して張り、昇降用の長い木の梯子(はしご)が据えられている。なかには、上に引き上げられるように縄梯子になっているものもある。ルソン島のカリンガ人はこの家屋に日常的に居住しているが、樹上家屋の多くは砦(とりで)や避難所である。たとえばアッサムのガロ人の場合は、焼畑耕作地として森林を伐採する際に大木を残しておき、そこに小屋をつくり、周りを横行する象や豹(ひょう)の動静を見張ったり、その危険から逃れるのに利用している。
[宇田川妙子]