樹下人物図(読み)じゅかじんぶつず

山川 日本史小辞典 改訂新版 「樹下人物図」の解説

樹下人物図
じゅかじんぶつず

樹木傍ら人物をそえて描く図様。樹木と人物のとりあわせの起源として,樹に手をからめて立つインドの女神ヤクシーや,西アジアの生命の樹と女神アナヒターなどが指摘されているが,風俗画の図様として発達したのは中国の唐代と考えられ,「章懐太子墓」の壁画好例。唐代文化の伝播により周辺の中央アジア・日本にも多くの作例がある。なお正倉院の「鳥毛立女屏風(とりげりつじょのびょうぶ)」のように女性の場合は「樹下美人図」と称する。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の樹下人物図の言及

【樹下美人図】より

…〈樹下美人図〉と通称されるのは,正倉院《鳥毛立女屛風(とりげりつじよのびようぶ)》やアスターナ出土の《樹下人物図》(東京国立博物館,MOA美術館)などを指し,樹木の傍らに立つ男女,ことに女性を描くことが,古代アジアにおいて特殊な画題であったと考えられる。8世紀を中心に,唐王朝の文化の及んだ東は日本から西はトゥルファンに至る広い範囲に,この画題の作品が見られる。…

※「樹下人物図」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」