樹園地土壌(読み)じゅえんちどじょう

改訂新版 世界大百科事典 「樹園地土壌」の意味・わかりやすい解説

樹園地土壌 (じゅえんちどじょう)

果樹クワチャなど永年生の木本作物を対象として栽培している圃場(ほじよう)の土壌をいう。一般に果樹やクワはともに深根性であるので,有効土層が深く,根群の分布範囲を広げるため,下層土に適当な孔隙(こうげき)が分布し,通気性,透水性,保水性など物理的な性質が良好であることがのぞましい。日本の樹園地土壌は傾斜地に分布する場合が多く,土壌浸食をうけやすい。そのため,植付地を階段畑にしたり,等高線植えを行ったり,わらなどの粗大有機物で土壌表面を被覆するなどの手段がとられている。また,桑園,茶園土壌ではとくに土壌の酸性化が著しいので,石灰質肥料を中心とした資材による土壌改良のほか,桑園土壌ではリン酸欠乏土壌が多いので,溶成リン肥,コンポストなどの有機物施用もあわせて行う必要がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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