翻訳|compost
都市ごみをコンポスト化装置で急速に肥料化したもので、堆肥などと同様の有機質肥料である。家庭から排出されるごみを肥料化するには、プラスチックや金属など肥料養分とならないものや危険物を分別除去し、ごみの中の病原菌や害虫を堆積発酵させ死滅させるとともに、悪臭を除去することが必要である。肥料成分の含有量は製品によってかなり変動するが、現物中で窒素1.6%、リン酸1.0%、カリウム0.9%前後である。また、銅、水銀、鉛、亜鉛などの重金属含量も概して多い。都市生活者の増加と生活様式の変化からごみの排出量は増加し、都市ごみコンポストの使用量は年とともに増大しつつある。
[小山雄生]
『藤田賢二著『コンポスト化技術――廃棄物有効利用のテクノロジー』(1993・技報堂出版)』▽『『コンポストの最新技術――有機性廃棄物の資源化・有効利用手法に関する調査研究』(1995・全国産業廃棄物連合会、化学工業日報社発売)』▽『廃棄物新聞編集部編、土田優二著『コンポスト化の考え方と実践方法――新理論でみる生ごみ処理機と次世代農業』(1998・日報出版)』▽『木村俊範・中崎清彦監修『生物系廃棄物コンポスト化技術』(1999・シーエムシー)』▽『木村俊範著『バイオマス資源のコンポスト化技術』(2003・シーエムシー)』
本来は主として植物遺体すなわち落葉,茎葉などを堆積腐熟させた堆肥と同義であるが,最近はより広く,動植物遺体や,各種の生物性廃棄物をそのまま,または適当な資材を加えて,堆積発酵腐熟させたものをいう。主要な構成分に応じて,下水汚泥コンポスト,都市ごみコンポストなどと呼んでいる。コンポストの性質は必ずしも一様ではないが,炭素率(炭素窒素比)C/N20以下にまで腐熟させるのが望ましいとされている。炭素率の大きいものを使用すると,土壌投与後の分解に伴い,土壌中の無機態窒素の有機化がおこり,植物が窒素飢餓におちいることがある。コンポストの中には,下水汚泥コンポストのようにカドミウム,水銀,ヒ素その他の有害重金属類を多く含んでいるものもあるので,施用に際しては十分注意を払う必要がある。販売されるものについては,それぞれ乾物あたりカドミウム5ppm,水銀2ppm,ヒ素50ppm以下でなければならないとされている。コンポストの肥効は堆肥とほぼ同様に考えることができる。
執筆者:熊沢 喜久雄
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…古くから利用されている自給肥料の一つで,稲わら,麦わら,落葉などの植物残渣(ざんさ)を堆積し,発酵腐熟させてつくる。 植物残渣をそのまま農地にすきこまないでわざわざ腐熟させるのは次の理由による。(1)このような植物残渣は炭素分が多く,窒素分が少ないために,土のなかで分解するとき土中に存在する窒素分を消費して,作物が窒素を吸収利用できず,窒素欠乏障害を生ずる。(2)新鮮な植物残渣は分解しやすい有機物を多く含むので,土のなかで急激な分解を起こし,有害な有機物を一時的に多く生じたり,土の酸素を消費して,作物の根を傷める。…
…鉢植えの植物は根の発達が制限されるので,通気性がよく,水分や養分を十分保持できる土壌を用いないと生育が悪い。このため,鉢栽培では土壌をそのまま用いることは少なく,理化学性を改善するための資材と混合するか,土壌を使わずにそれらの資材だけを混合して利用するのが一般的である。配合土はこのようにして作った鉢栽培用の土壌で,培養土ともいう。配合土に利用する資材は理化学性がすぐれているだけでなく,病虫害のおそれがなく,軽くて,しかも安価で大量に入手できるものでなければならない。…
…このようにごみの存在自体が生活環境を阻害するので,ごみ容器に保管し,収集・運搬・中間処理・最終処分という一連のごみ処理を行うのが普通である。中間処理の目的は,最終処分を安全かつ容易に行えるように,ごみを物理的または生物学的な方法により,減量化,安定化(無機物化)させることであり,技術的には焼却,高速堆肥化(コンポスト)等が行われている。最終処分は最終的に環境中に排出することを指し,埋立処分が一般的である。…
※「コンポスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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