最新 地学事典 の解説
かんらんせきへんけいスピネルてんい
橄欖石-変形スピネル転移
olivine-modified spinel transition
マントルの主要鉱物であるかんらん石の(変形)スピネル構造への圧力誘起相転移。J.D.Bernal(1936)は,マントル遷移層における地震波速度・密度の急増の原因がこの相転移に起因すると考えた。A.E.Ringwood(1958)はFeに富んだかんらん石(Fa100)がこの構造に転移することを初めて実験により確認した。一方,かんらん石の苦土かんらん石に富む組成のものは,スピネル構造(リングウッダイト)に直接転移せず,対称性の低い未知構造のb相へと相転移することがRingwoodらにより示された。その後,秋本俊一や川井直人らのグループの研究により,この相がスピネル構造に類似した変形スピネル構造(ワーズレイアイト)であり,より高い圧力下でスピネル構造へとさらに転移することが明らかにされた。かんらん石-変形スピネル転移は酸素のパッキングの様式の変化を伴い,密度等の物性の大きな変化をもたらす。一方,スピネル-変形スピネル転移はわずかな結晶構造の変化に対応し,あまり大きな物性変化はない。マントル中のかんらん石(Fo89)は約13GPaで変形スピネル構造に転移するとされ(桂智男ほか,1989),この圧力は深さ約400kmに相当することから,この相転移は400km不連続の主要な原因であると考えられている。
執筆者:入舩 徹男・宇井 忠英
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

