欺かざるの記(読み)あざむかざるのき

精選版 日本国語大辞典 「欺かざるの記」の意味・読み・例文・類語

あざむかざるのき【欺かざるの記】

  1. 国木田独歩日記。全二編。前編は明治四一年(一九〇八)、後編は同四二年に刊行。満二一歳から二五歳までの記録

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「欺かざるの記」の意味・わかりやすい解説

欺かざるの記
あざむかざるのき

国木田独歩の日記。1893年(明治26)から1897年、23~27歳までの思索と生活の記録である。死後、前編(1908)を佐久良(さくら)書房、後編(1909)を隆文館から公刊題名は独歩の命名したもの。生前に前編の一部を「独語」と題し『明星』(1901)に発表している。その内容は、自由社への入社、退職、大分県佐伯(さいき)の鶴谷(つるや)学館への赴任など(前編)、後編は恋愛日記ともいわれ、上京後、日清(にっしん)戦争の従軍記者を経て佐々城信子(ささきのぶこ)(有島武郎作『或(あ)る女』のモデル)との恋愛、結婚、離婚を中心に、処女小説『源叔父』の執筆までである。そこには、自然と人間生存との洞察に固有の関心が払われている。この記録は、独歩の青春像や独歩文学の根底を理解するための貴重な資料である。

[中島礼子]

『『定本国木田独歩全集6・7』(1978・学習研究社)』

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世界大百科事典(旧版)内の欺かざるの記の言及

【国木田独歩】より

…92年,浪漫主義の同人誌《青年文学》に参加,ワーズワース,カーライルの作品に出会い,精神革命を経験した。93年に起筆した日記《欺かざるの記》は,97年まで続き,明治中期の青年の苦悩とあこがれに表現を与えた。佐伯の鶴谷学館の教師を経て,94年国民新聞社に入社。…

※「欺かざるの記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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