日記(読み)にっき(英語表記)diary

翻訳|diary

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

日記
にっき
diary

日々の出来事や行動を記録したもの。漢文による日次記には,官庁の記録や公家の行事記録を主とした日記などがあり,『万葉集』にみる大伴家持家集は「歌日記」というべきもので,文学的日記の先駆であり,円仁の『入唐求法 (にっとうぐほう) 巡礼行記』などは旅日記として文学的にもすぐれている。西洋ではすでにローマ時代から日記をつける習慣があった。しかし文学としての価値をもつ日記には,筆者の個性のおもしろさが要求される。 17世紀後半のイギリスの官僚 S.ピープスの日記は王政復古期の世相を写実的に描いており,個性的な面が強調されると H.アミエルの日記のように内省や思索を中心としたものとなる。日本の場合は一つのジャンルとして「日記文学」があり,筆者を女性に仮託して書かれた紀貫之の『土佐日記』をはじめとして『蜻蛉日記』『和泉式部日記』『紫式部日記』『更級日記』『讃岐典侍 (さぬきのすけ) 日記』など平安時代の女流日記や『弁内侍 (べんのないし) 日記』『十六夜日記』『とはずがたり』など,主として中世の作品をさす。これらは事実の記録としての日記とは異なり,自己告白的な自伝文学としての特徴をもつ。

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デジタル大辞泉の解説

に‐き【日記】

にっき」の促音の無表記。
「をとこもすなる―といふものを」〈土佐

にっ‐き【日記】

毎日の出来事や感想などの記録。日誌。日録。ダイアリー。「かかさずに日記をつける」「絵日記
日記帳」の略。
[補説]書名別項。→日記

にっき【日記】[書名]

原題、〈フランスJournalルナールの日記。1887年から死の直前まで、24年間にわたり書き続けられたもの。著者没後に刊行された全集により一般に公開された。

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世界大百科事典 第2版の解説

にっき【日記】


【日本】
 日本における〈日記〉の語は,古来広狭さまざまな意味に用いられた。日にかけて事実を書きしるしたものという観点から,六国史以下の史書を日記とよぶことも広く行われたし,特定の事件に関する報告書や問注記を事発日記とか,問注日記,勘問日記と称した。また《土佐日記》や《蜻蛉日記》のように,紀行や回想録,随筆等の文学作品で日記と称したものも少なくない(〈日記文学〉の項参照)。しかし備忘のため日々のできごとを記録したもの,すなわち狭義の日記が,日本のように9世紀中ごろからほとんど間断なく伝存していることは,中国にも欧米にも例をみない現象であり,現在文献史料としては,典籍や文書に対し,記録とよばれて重んぜられている。

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大辞林 第三版の解説

にき【日記】

〔「にっき」の促音「つ」の無表記〕
日記。 「男もすなる-といふものを/土左」

にっき【日記】

日々の出来事や感想などを一日ごとに日付を添えて、当日またはそれに近い時点で記した記録。古くは「御堂関白記」「玉葉」「明月記」などが著名だが、職掌上交替で書き継がれた「御湯殿上日記」などもある。日誌。にき。
「日記帳」の略。
[句項目] 日記買う

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

日記
にっき

日々のできごとや感想を毎日記したもの。「にき」とも読み、日次(ひなみ)記、日録(にちろく)などともいう。日本史の文献史料として扱われるものに対しては、狭義の記録と同義に用いられる。古文書と並ぶ重要な史料である。[編集部]

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精選版 日本国語大辞典の解説

に‐き【日記】

〘名〙 (「にっき」の促音の無表記) =にっき(日記)
土左(935頃)発端「をとこもすなる日記といふものを、をむなもしてみんとてするなり」

にっ‐き【日記】

〘名〙
① 事実を記録すること。また、その記録。実録。にき。
※東南院文書‐天喜三年(1055)一二月一四日・東大寺権寺主封物注進日記「注進 若狭国御封之内絹布日記」
※古今著聞集(1254)七「この事、いづれの日記に見えたりといふ事を知らねども」
② できごとや感想を一日ごとにまとめ、日づけをつけて、その当日または接近した時点で記録すること。また、その記録。日録。日乗。にき。
※令集解(868)職員「侍従以下上日。省録日記哉」 〔老学庵筆記‐巻三〕
▼日記買う《季・冬》
※日葡辞書(1603‐04)「Nicqini(ニッキニ) noru(ノル)〈訳〉帳簿に記載してある」
[語誌](1)漢語「日記」は日本で早くから公文書類などに使用が見られ、現在まで呉音読み「にっき」が定着している。平仮名文では多く、「日」の促音を無表記にして「にき」と書かれた。
(2)男性貴族は漢字のみを用いた真名日記を残しており、主に公的行事についての記録であった。これに対して平仮名で記されたものは私的心情の表出に重きを置き、文学性が高い。→日記文学

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世界大百科事典内の日記の言及

【記録】より

…日本の文献史料の一分野を指す用語。著作物である典籍や,おのれの意思・用件などを相手に伝える目的で書かれたものを文書(もんじよ)とよぶのに対し,原則として自己(近親者あるいは所属の機関なども含む)の備忘のため書きとめたものを記録といい,主として日記類がこれに該当する。この意味の〈記録〉の語の用例は,すでに8世紀の養老職員令の内記の職掌について,〈御所記録〉のことをつかさどるべしと見え,のちの内記日記につながるものと思われるが,諸家の日記を指して〈記録〉と明記した例には,《花園院宸記》の記事がある。…

※「日記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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