歌舞伎の観客(読み)かぶきのかんきゃく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「歌舞伎の観客」の意味・わかりやすい解説

歌舞伎の観客
かぶきのかんきゃく

現代の歌舞伎観客は,(1) 個人客と団体客,(2) 常連と初心者,という2つの分類が可能であり,その2つが互いに混じり合った状態にある。第2次世界大戦後,歌舞伎見物が庶民の生活から遠のいた結果,大劇場では団体客抜きで興行採算をとることが難しくなった。その団体も,最初は企業の慰安会や地方の観光旅行客が主であったが,最近は新聞社主催の観劇会といった教養指向のものが比重を増している。彼らの大半は初めて歌舞伎に接する場合が多く,舞台との交流を求めるよりも,伝統文化としての知識を欲する傾向が強い。一方,常連の個人客,昔でいう「通」「見巧者」も存在するが,その割合は漸減している。現在は戦後何回目かの歌舞伎ブームと目されているが,この風潮大衆演劇としての歌舞伎に,どのような影響を及ぼすかは予測し難い。

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