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大衆演劇 たいしゅうえんげき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

大衆演劇
たいしゅうえんげき

一般に娯楽劇をさす。浅草のエノケンロッパや新宿のムーラン・ルージュなどの軽演劇,また不二洋子大江美智子,浅香光代らの女剣劇曾我廼家五郎,十郎,五九郎,十吾,渋谷天外らの曾我廼家劇など,もともとは中小の興行資本によって小さな劇場や演芸場などで興行し,大衆に支持されてきたものをいう。第2次世界大戦中,情報局が歌舞伎や新劇,新派新国劇前進座を除いた演劇を大衆演劇部門に編入,この言葉が普通に使われるようになった。戦後は長谷川一夫の東宝歌舞伎や三波春夫美空ひばりなどの歌手芝居も大衆演劇と呼ばれ,さらに地方回りの一座も含めるようになった。本来は歌舞伎も大衆演劇であり,便宜的な呼称といえる。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

大衆演劇

東京では「寄席芝居」と呼ばれていた大衆演劇。劇場は最盛期の昭和初期には120を数えたが、戦後はテレビの普及や娯楽の多様化、東京五輪に伴う開発ラッシュで次々に廃業した。1980年代、浅草から梅沢富美男さんらスターが出て人気が再燃。最近は若手座長が業界を引っぱるようなった。だが、大阪市内だけでも10館ある関西に比べると、大衆演劇の人気は「西高東低」である。

(2015-09-02 朝日新聞 朝刊 都区内・2地方)

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世界大百科事典 第2版の解説

たいしゅうえんげき【大衆演劇】

鑑賞に専門的な知識を必要とせず,大衆の素朴な感情に訴え,風俗性の色濃く出ている演劇の総称。その意味では,今日では〈高級化〉〈専門化〉してしまった感のある歌舞伎や人形浄瑠璃にしても,成立期においては,大衆演劇であった。また演劇の起源を考えれば,それは多くはある社会の祭儀の場における集団的な営為であったわけだから,その意味ではすべての演劇が本来的に〈大衆的〉なものであると言うこともできよう。 しかし今日では,われわれはふつう演劇のすべてではなく,冒頭に述べたようなある種の演劇を念頭において〈大衆演劇〉ということばを用いており,具体的には新派宝塚歌劇(少女歌劇),松竹新喜劇ミュージカル,人気歌手やテレビタレントによる公演,その他の現代劇や時代劇など,俗に商業演劇と呼ばれる松竹東宝を中心とした劇場を有する興行資本の製作によりたくさんの観客を集める公演のうちで,比較的伝統の浅い演劇が,大衆演劇の主流を占めている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

大衆演劇
たいしゅうえんげき

いわゆる高級演劇や中間演劇に対する、もっとも大衆に親しまれる演劇の総称。芸術性よりは娯楽性が大きな要素になっており、近代大衆社会の拡大に照応して発展した。日本では剣劇、女剣劇、軽演劇、レビュー、ストリップショーの類(たぐい)をさすが、境界はあいまいで、新派(しんぱ)劇、歌舞伎(かぶき)、新劇などのうち比較的大衆向けのものを含めることもある。いずれにしても受け手である大衆の情緒性に左右され、マスコミの影響を受けやすく、栄枯盛衰が甚だしい。また、1970年(昭和45)代あたりから、それまで俗に寄席(よせ)芝居、旅芝居とよばれていた小規模の劇団がこぞって「大衆演劇」を自称するようになったが、これらは入場料も低廉で内容もごく通俗的という点でもっとも庶民に密着した存在であるところから、最狭義の大衆演劇といえよう。[向井爽也]

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世界大百科事典内の大衆演劇の言及

【軽演劇】より

…この言葉がジャーナリズムに現れたのは,1931年ごろといわれる。同時に〈大衆演劇〉という言葉も普及しはじめ,その中で意識的に新しい演劇運動をおこそうとした派が〈新喜劇〉または〈軽喜劇〉という言葉を使った。前者は〈旧劇〉である歌舞伎に対する〈新劇〉〈新派〉という言葉と同様の趣旨のもので,後者は,ライト・コメディの訳語といえる。…

※「大衆演劇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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