朝日日本歴史人物事典 「正親町町子」の解説
正親町町子
生年:生年不詳
江戸初期の和歌文学者。権大納言正親町実豊の庶腹の子,神道家公通の異母妹。初名弁子。16歳で江戸に下向,田中氏を称して徳川綱吉の側用人柳沢吉保の側室となる。元禄7(1694)年に吉保の4男経隆,同9年に5男時睦を生む。『如葉集千首』(1704年序)はその面影を十分に伝える私家集。吉保の幕閣としての栄華と文学的精進を細やかに綴った『松蔭日記』(1714年までに成立か)は,今に至るまで高い評価を得ている。「貞享二年の此より宝永六七年までの柳沢家の繁栄なりしを,栄花物語,続世継などの文体にかけり。筆たけて源氏物語よむこゝちす」(岡本保孝『難波江』)。<著作>『松蔭日記』(『女流文学全集』1巻)
(ロバート・キャンベル)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報