日本大百科全書(ニッポニカ) 「武都」の意味・わかりやすい解説
武都
ぶと / ウートゥー
中国、甘粛(かんしゅく)省南東部の隴南(ろうなん)市に属する市轄区。人口58万0201(2010)。四川(しせん)盆地に流入する嘉陵江(かりょうこう)の上流である白竜江(はくりゅうこう)の沿岸にあり、黄河(こうが)中・上流域と四川をつなぐ交通上の要衝で、古来、四川防衛の重要拠点であった。漢の武都郡に属する地であったが、郡の治所の置かれた当時の武都県は現在の西和(せいわ)県にあった。唐代に階州の地となってから以後の王朝はおおむねこれを踏襲し、1913年に武都県となった。2004年区制施行。
周辺では小麦、綿花、花椒(ホワチヤオ)(サンショウ)などの農作物のほか、上党人参(じょうとうにんじん)、当帰(とうき)、貝母(ばいも)、白きくらげといった漢方薬材を産し、その集散地となっている。建築材料、石炭、セメントなどの工場や水力発電所が立地する。また金糸猴(きんしこう)(キンシコウ)やジャイアントパンダなどの珍貴な動物がいる。
[秋山元秀・編集部 2017年6月20日]