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歯の変化がもたらした草原適応 はのへんかがもたらしたそうげんてきおう

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知恵蔵の解説

歯の変化がもたらした草原適応

森林で誕生した人類は、乾燥した草原に進出するに従い、硬く砂混じりの食物を噛むために臼歯が拡大する傾向があった。しかし、それがいつ、どこで、どのように起こったか、詳細は不明だった。 ところが、ティムホワイト・カリフォルニア大教授や諏訪元・東京大教授らの最近の化石研究によって、440万年前からの20万年間に、東アフリカで、臼歯の小さなアルディピテクス・ラミダスから臼歯の大きなアウストラロピテクス・アナメンシスへの進化が急速に起こったことがわかった。しかも、アナメンシスは、臼歯が大きいにもかかわらず、森林の動物と一緒に発見されている。 このことは、かつて考えられていたように、環境が森林から草原に変わったために歯の形態が変わったのではなく、環境の変化より先に歯の特徴の変化が起こったことを意味している。つまり、この時期の猿人たちは、森林の辺縁部あるいは河辺林に住み、そこの果実などを食べるだけでなく、草原に出かけて行って、根茎など硬く砂混じりの食物を噛み砕いて食べていた可能性を示唆している。 このような食物資源開拓能力が、後の人類の発展を生み出す原動力となったのだろう。250万年ほど前から一段と厳しくなった乾燥化の中で、弱ったり、あるいは死んだりした動物の肉や骨髄を利用し始めた猿人の集団は、ホモ属の人類へと進化していくことになる。

(馬場悠男 国立科学博物館人類研究部長 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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