(読み)るまた

精選版 日本国語大辞典 「殳」の意味・読み・例文・類語

る‐また【殳】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ル」と「又」との合字のような形であるところからいう ) 「ほこづくり(殳旁」の別称。「段」「殿」「股」などの「殳」の部分
    1. [初出の実例]「殳 るまた」(出典:落葉集(1598)小玉篇)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「殳」の読み・字形・画数・意味


4画

[字音] シュ
[字訓] つえぼこ

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
(しゅ)+(又)(ゆう)。は〔説文〕三下に「鳥の短、飛ぶことたるなり」とみえる。〔説文〕三下に殳を声とし、「杖を以て人を殊(ころ)すなり」(段注本)と殊殺の意とするが、杖矛の類である。〔周礼、考工記、廬人〕に「戈(ほこ)の(ひ)(柄)六尺六寸、殳の長さは四尺(一丈二尺)」とあり、積竹を八(こ)の形にして作り、刃の無いものである。わが国の竹刀に似たものであるらしい。これを車上に樹てて、鹵簿(ろぼ)の先駆とした。〔詩、衛風、伯兮〕に「伯や殳を執り 王の爲に先驅す」とみえる。〔説文〕はこの部の(しゆ)字条に「軍中の士、持するの殳(つゑぼこ)なり。~司馬法に曰く、を執りてに從ふ」とあり、上端に羽飾りをつけるものであるらしい。羽は呪飾として用い、〔周礼、春官、司常〕に「(すい)と爲す」とあって、旌旗にも羽飾りを用いた。これによっていえば、殳とはその呪杖をもつ意で、わが国の「毛やり矛(ぼこ)」のようなものであろう。がその毛やり矛、投は(ほこ)を扱う意の字であろう。

[訓義]
1. つえぼこ。
2. 矛の柄、さお。
3. 干戚(かんせき)(たて)のように、持って舞う。

[古辞書の訓]
名義抄〕殳 ホコ 〔立〕殳 ホコ・ツヱ

[部首]
〔説文〕に・毆(殴)・・殿・・毅・役など十九字を属し、重文一。〔玉〕に二十字を属する。みな殳を以て殴(う)つことを示す字で、呪的な意味をもつ行為をいう。毆は區(秘密の祈りの場所)で、は頭、殿は臀(しり)をたたく。は医(治療)に従い、治療するとき、毅は軍戯に関する字である。次部に(殺)・弑を録するが、・弑は(祟(たたり)をなす獣)に対して行う呪的な方法をいう。これらのことから考えると、殳は呪杖の類であろうと思われる。

[声系]
〔説文〕に殳声として・股・骰・投()の諸字を収めるが、股・などは別の声の字である。

[語系]
殳・zjioは同声。また投()doは声近く、〔説文〕十二上に「(う)つなり」とあり、字形などからも考えて、もと呪的な意味をもつ字であろう。

[熟語]
殳戈殳叉殳書・殳殳仗殳虫殳矛
[下接語]
鋭殳・戈殳干殳・挙殳・載殳・授殳・書殳・殳・桃殳・霊殳

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【武器】より

…この剣の性質をもたせて,より小型化したものが首(ひしゆ)すなわち〈あいくち〉で,隠し持つことができるので暗殺などの目的にかなっていた(刀剣)。 殳(しゆ)は木製の棍棒で,竹を割ってそれを麻布でつつみ,さらに糸を巻いた上に漆を塗ったものが多かった。別に堅い木を使うこともあった。…

※「殳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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