…のち40年にハリウッドへ渡り,数本のB級映画を手がけたうえ,ウィリアム・アイリッシュ原作による《幻の女》(1944)で認められた。次いでジェームズ・ロナルド原作《容疑者》(1945),エセル・リナ・ホワイト原作《らせん階段》(1945),アーネスト・ヘミングウェー原作《殺人者》(1946)(シオドマクによれば,クレジットタイトルに名まえは出ていないが脚本を書いたのはジョン・ヒューストンであるという),H.E.ヘルセス原作《マーティン・ロームの電気椅子》の映画化《都会の叫び》(1948)等々,今日〈フィルム・ノワール〉,あるいは〈心理的スリラー〉と呼ばれるジャンルの古典になっている傑作をつくり,アルフレッド・ヒッチコックやフリッツ・ラングと並んで40年代ハリウッドの〈スリラー〉の代表的監督になった。ウーファ社時代に学んだドイツ映画のメロドラマと表現主義映画のスタイルの基礎を,ハリウッドの製作機構の中で当時のリアリズム志向の風潮に溶け込ませたそのセミ・ドキュメンタリー的手法は,〈ロケーション・リアリズム〉などと呼ばれて再評価の対象になっている。…
※「殺人者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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