クレマン(読み)くれまん(英語表記)René Clément

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クレマン」の意味・わかりやすい解説

クレマン
くれまん
René Clément
(1913―1996)

フランスの映画監督。ボルドー生まれ。パリ建築を学んだのち、1931年ごろから個人的に映画をつくり始め、陸軍映画班に入ってドキュメンタリー映画に携わった。1937年から1943年までに7本の短編を監督したのち、フランスの鉄道員たちのレジスタンスを描いた『鉄路の闘い』(1946)で注目された。続いてドイツ潜水艦を舞台にした『海の牙(きば)』(1946)、戦争孤児を叙情的に描いた『禁じられた遊び』(1952)など反戦と深くかかわる作品を発表した。ゾラ小説の映画化『居酒屋』(1955)で文学性の高い作品に転じたが、さらにその世界からも離れ、『太陽がいっぱい』(1960)以後は娯楽的傾向を強めた。

[出口丈人]

資料 監督作品一覧

左側に気をつけろ Soigne ton gauche(1936)
鉄路の闘い La battailledu rail(1946)
海の牙 Les maudits(1946)
鉄格子彼方 Au dera des grilles(1949)
ガラスの城 Le château de verre(1950)
禁じられた遊び Jeux interdits(1952)
しのび逢い Monsieur Ripois(1954)
居酒屋 Gervaise(1955)
海の壁 Barrage contre le pacifique(1958)
生きる歓び Quelle joie de vivre(1960)
太陽がいっぱい Plein soleil(1960)
危険がいっぱい Les félins(1964)
パリは燃えているか Paris brûle-t-il?(1966)
雨の訪問者 Le passager de la pluie(1970)
パリは霧にぬれて La maison sous les arbres(1971)
狼は天使の匂い La course du lièvre à travers les champs(1972)
危険なめぐり逢い La baby sitter(1975)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレマン」の意味・わかりやすい解説

クレマン
Clément, René

[生]1913.3.18. ボルドー
[没]1996.3.17. モンテカルロ
フランスの映画監督。初めドキュメンタリー映画に従事していたが,長編劇映画第1作『鉄路の闘い』 La Bataille du Rail (1944) で一躍名を上げる。悲劇的状況のなかで人間性を追求するドラマに卓抜した才能を見せた。主作品に『鉄格子の彼方』 Au-dela des Grilles (49) ,『禁じられた遊び』 Jeux Interdits (52) ,『居酒屋』 Gervaise (56) ,『太陽がいっぱい』 Plein Soleil (60) など。

クレマン
Clément, Jacques

[生]1567
[没]1589
フランスの狂信的なドミニコ会修道士。 1589年8月1日,アンリ3世刺傷,翌日王は死去した。

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