毛引(読み)けびき

精選版 日本国語大辞典 「毛引」の意味・読み・例文・類語

け‐びき【毛引】

〘名〙
① (「けひき」とも) 鎧(よろい)の威(おど)し方の一つ。糸目を細かくして小札(こざね)を綴ること。一面に威しこめる威毛の並び方による名称。粗い素懸(すがけ)に対していう。
日葡辞書(1603‐04)「Qefiqino(ケヒキノ) グソク」
② (後で、本物の印でないと主張するために)証文などに実印を押すとき、印と紙との間に毛筋を一本はさんで押すこと。
※歌舞伎・早苗鳥伊達聞書(実録先代萩)(1876)六幕「かねて手前の実印へは、毛引(ケビキ)いたしてござりまする」
田畑不作の場合、減収量に応じて免(租率)を引き下げること。
※廻間村庄屋留(愛知県知多郡)‐天保七年(1836)「十一月四日、重而毛引願差上中之処」
④ 金属製の外科手術用具の一つ。はさみのような形で刃のないもの。毛抜き。鉗子(かんし)
浄瑠璃村松(1637)六「おんながしたをぬかせよとて、けひきのはしにてしたをぬき」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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