精選版 日本国語大辞典 「気取」の意味・読み・例文・類語
き‐どり【気取】
〘名〙
※滑稽本・風来六部集(1780)里のをだ巻評「幼少よりの育がら、立居振舞髪容(かみかたち)、第一気(キ)取を大切とし」
② その人に対して他人がいだく感じ。気受け。
※売卜先生安楽伝授(1796)下「主や親や兄弟や女房子には疎くつらくて、遊所の者には情をかけ気取(キドリ)をよくして悦ばせ」
③ 趣向。工夫。
※洒落本・当世気どり草(1773)「自ら称して通りものと、めったに言洒落と気とりと」
④ 様子。感じ。
⑤ そのものになったようにふるまうこと。人の風をまねてふるまうこと。名詞に付けて用いることが多い。
※洒落本・伊賀越増補合羽之龍(1779)仲町梅音の段「おめへのおいでを、待かねやの総角に助六の気どりで居なせへす」
き‐ど・る【気取】
[1] 〘他ラ五(四)〙
① それと感づく。察知する。推しはかって思う。解する。けどる。
※洒落本・通人三国師(1781)発端「ソレそこをきどらねヱでやみ雲ぬしが出てあるいちゃア」
② 心を配る。用意しておく。
※咄本・鯛の味噌津(1779)色男「酒といふところをきどろふではないか」
③ 気持をむけている様子をする。思わせぶりをする。
④ 様子をまねてふるまう。
※西洋道中膝栗毛(1874‐76)〈総生寛〉一三「日本では御祭りや何かにゃア赤い玉を書た旗を樹(たて)るから夫にきどって大きく赤玉を拵へて」
[2] 〘自ラ五(四)〙 体裁を飾る。もったいぶる。おつにすます。
け‐ど・る【気取】
〘他ラ五(四)〙 (古くは「けとる」か)
① 正気を失わせる。魂をうばう。
(イ) 物の怪(け)などが魂をうばう。
(ロ) 魅力、美しさなどが心をうばう。魅了する。
② 相手の気配や周囲の様子などから、表には現われていない本心、内意を察知する。感づく。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
※俳諧・七番日記‐文化一一年(1814)二月「鶯にけどらるるなよ不性垣」
③ 気取(きど)る。
※雑俳・桜狩(1743)「よいじぶん・さんごじゅ提てけどる妻」
かど・る【気取】
〘他ラ四〙 (「けどる(気取)」の変化した語)
① 魂をうばう。けどる。
※名語記(1275)九「鬼魔のために、かとらる如何」
② 様子を見てそれと感じさとる。感づく。察知する。けどる。
※信長記(1622)一五上「いやいや、かとられて生害にあはんは却ってふ覚なるべし」
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