水無瀬荘(読み)みなせのしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「水無瀬荘」の意味・わかりやすい解説

水無瀬荘
みなせのしょう

摂津国島上(しまのかみ)郡、現在の大阪府三島(みしま)郡島本(しまもと)町にあった東大寺領荘園。756年(天平勝宝8)聖武(しょうむ)天皇が勅施入(ちょくせにゅう)したもの。同年12月16日の日付がある荘絵図が正倉院に伝わっている。淀(よど)川の右岸に位置し、山陽道が通じる交通の要衝であったことから、初め物資輸送のための中継基地としての役割を果たしていたと考えられている。

 平安時代に入って荘内の田地化が進んだようで、1029年(長元2)には田地が8町余りあったことがわかる。田地の経営は近辺の住民らが請け負っていたが、1045年(寛徳2)には彼らのなかに石清水八幡(いわしみずはちまん)宮や摂関家の従者であるのをいいことに地子(じし)を納めぬ者がいて問題になっている。しかし平安末までに東大寺は荘支配の体制を整えたようで、1214年(建保2)の記録によれば、荘内の田地12町余、畠(はたけ)3町余を掌握、下司(げし)・公文(くもん)・徴使(ちょうし)の荘官を置いていたことがわかる。以降の推移はかならずしも明らかではないが、1519年(永正16)の文書によれば、戦国時代に至るまで東大寺領として続いていたことがわかる。

[富沢清人]

『『島本町史 本文編』(1975・島本町)』

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