化学辞典 第2版 「水素化触媒」の解説
水素化触媒
スイソカショクバイ
hydrogenation catalyst
不飽和結合を有する有機化合物の水素化を促進する触媒.
(1)金属,
(2)金属酸化物および硫化物,
(3)金属錯体,
に大別される.活性な金属は,白金,ニッケルなどの周期表8~10族元素および銅,レニウムなどである.アルミナ,活性炭,けいそう土などの担体につけて表面積を大きくして使用する.ニッケル,コバルトなどについてはラネー触媒([別用語参照]ラネーニッケル触媒)もよく使われる.レニウムは耐酸,耐硫黄性の面と,カルボン酸水素化などの特定の分野で用いられる.ルテニウムはカルボニル基水素化の選択性,パラジウムは三重結合部分水素化の特異性がある.(2)の金属酸化物で活性を示すのは,コバルト,ニッケル,クロム,亜鉛の酸化物のほか,V2O3,MoO2などである.硫化物ではMoS2,WS2,CoS,NiS,Re2S7などが活性であり,水素化脱硫触媒として使われている.(3)の金属錯体については非常に多くの活性触媒が見いだされているが,中心金属は金属単体としても活性なものが多い.[Co(CN)5]3- は水溶液中で共役二重結合を選択的にモノオレフィンにする.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報