日本大百科全書(ニッポニカ) 「水野傳一」の意味・わかりやすい解説
水野傳一
みずのでんいち
(1919― )
薬学者。薬学博士。東京銀座の生まれ。東京帝国大学医学部薬学科を卒業。東大伝染病研究所(現、医科学研究所)を経て、国立予防衛生研究所(現、国立感染症研究所)に入り、1953年(昭和28)イギリス、マンチェスター大学細菌学教室に留学。帰国後、予防衛生研究所化学部長となり、細菌の合成培地素材、薬剤耐性菌、微生物、核酸などの研究を行う。1961年、東大薬学部教授就任、微生物薬品化学講座を創設。1968年「大腸菌RNAの代謝調節の研究」により日本薬学会学術賞を受賞し、1978年には「RNAの代謝回転と分子集合による制御に関する研究」により日本学士院賞を受賞した。ほかに癌(がん)免疫療法に関する研究を行う。東大薬学部長、東大総長特別補佐、東大名誉教授、日本生化学会会長、日本薬学会会頭、帝京大学薬学部教授などを歴任。著書に『微生物化学』(1953)がある。
[根本曽代子]
『『微生物化学』(1953・南山堂)』▽『水野傳一他著『生体と酸素』(1976・朝倉書店)』▽『水野傳一編『生体制御 遺伝子による生体制御・オルガネラによる生体制御・正常と異常――その分子論的展開』(1980・共立出版)』