国指定史跡ガイド 「永納山城跡」の解説
えいのうさんじょうあと【永納山城跡】
愛媛県西条市河原津、今治(いまばり)市松川にある城跡。高縄(たかなわ)半島の東付け根に所在する古代山城跡で、北方には芸予諸島が瀬戸内海を横断するように続き、周辺の来島(くるしま)海峡は古くから瀬戸内海交通と軍事の要衝となっている。瀬戸内海沿岸には、白村江(はくすきのえ)での敗北以降、いくつかの古代山城が造られたが、ここもその一つとされている。永納山城跡は、南北約1.0km、東西約0.8km、標高約130mの永納山と、その北西部に位置する南北約0.2km、東西約0.3km、標高約130mの医王山の2つの独立した山塊上、来島海峡を一望できる場所に立地する。1977年(昭和52)の分布調査で発見され、2002年(平成14)からの発掘調査の結果、山塊上に花崗岩製の切り石列と土塁を確認。2005年(平成17)に国の史跡に指定され、2007年(平成19)に追加指定された。この城跡は、その構造と他の類例から7世紀後半ごろに築造されたと推定され、畿内(きない)地方への侵攻を食い止める目的で築造された可能性が高いことから、7世紀の対外関係を示す遺跡として重要とされている。JR予讃線伊予三芳駅から車で約10分。