汎血球減少症(読み)はんけっきゅうげんしょうしょう(その他表記)Pancytopenia

六訂版 家庭医学大全科 「汎血球減少症」の解説

汎血球減少症
はんけっきゅうげんしょうしょう
Pancytopenia
(子どもの病気)

どんな病気か

 人間の血液のなかには赤血球血小板、それに白血球の3系統の血球が存在します。この3系統の血球のどれもが減少している状態を、汎血球減少症といいます。つまり、貧血血小板減少症白血球減少症もあるような病態です。

原因は何か

 2つの原因が考えられます。ひとつは血液の工場ともいうべき骨髄(こつずい)の機能低下、もうひとつは末梢における血球破壊の亢進(こうしん)です。

 前者はまた、2つの場合に分けることができます。一方はすべての血球の元になる造血幹細胞(ぞうけっかんさいぼう)の減少によるもの、他方は幼若な血球は作られるものの、質的異常のために成熟できずに骨髄内で壊れてしまうもの(無効造血(むこうぞうけつ)と呼ぶ)です。

 では、後者の末梢における破壊とはどのようなものでしょう。血球が破壊される主な場所は脾臓(ひぞう)です。さまざまな原因で脾臓腫大すると機能が亢進し、血球の寿命がまだ来ないうちに破壊されてしまうのです。汎血球減少症を起こす主な病気を表10に示します。

症状の現れ方

 大別して、白血球減少による感染症症状発熱、のどの痛みなど)、血小板減少による出血傾向皮下の点状出血斑、鼻出血歯肉出血など)、赤血球減少による貧血症状(表8)になります。

検査と診断

 末梢血検査骨髄穿刺(こつずいせんし)(針を刺して採取する)がまず行われます。その結果により、さまざまな特殊検査が必要となります。

治療の方法

 それぞれの原因となる病気を治療します。

細谷 亮太


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「汎血球減少症」の解説

はんけっきゅうげんしょうしょう【汎血球減少症】

 全身の造血機能(ぞうけつきのう)が低下した結果、赤血球(せっけっきゅう)、白血球(はっけっきゅう)、血小板(けっしょうばん)のいずれもが減少した状態になります。
 再生不良性貧血の診断を確定させる症状の1つです。汎血球減少症をひきおこす基礎疾患には、再生不良性貧血のほかに、骨髄浸潤性疾患(こつずいしんじゅんせいしっかん)、脾腫(ひしゅ)をともなう疾患、ビタミンB12葉酸(ようさん)の欠乏全身性エリテマトーデスなどがあります。ときには妊娠や薬剤などが起因となることもあります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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