改訂新版 世界大百科事典 「江南軍」の意味・わかりやすい解説
江南軍 (こうなんぐん)
1281年(弘安4)の弘安の役時に東路軍(蒙古・高麗軍)とともに日本に遠征した,南宋の降兵を主体とした元軍の一派。1279年南宋を滅ぼした元にとって,降伏した旧南宋軍人の処置が緊急の課題となった。そこで元は旧南宋軍人を第2次日本遠征に利用することにし,阿剌罕(あらかん)を総司令官としたが,病気のため後に阿塔海(あたはい)がこれに代わった。范文虎(はんぶんこ)が率いる江南軍の兵員は10万人,3500艘の兵船で,はじめ6月15日以前に東路軍と壱岐で合流する予定であったが,作戦が変更され,6月18日に慶元(寧波)を出発した。7月中旬に平戸島に到着したので,ここで東路軍と合流し,7月27日一挙に博多湾に侵入するために鷹島に移ったところ,7月30日夜から暴風が吹き荒れ,翌閏7月1日,東路軍ともども潰滅的打撃をこうむった。その後,元に逃げ帰った者もあったが,取り残された者は日本軍の追撃をうけ,南宋人の多くは奴隷として捕らえられた。
→モンゴル襲来
執筆者:佐伯 弘次
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