寧波(読み)ニンポー

デジタル大辞泉 「寧波」の意味・読み・例文・類語

ニンポー【寧波】

中国浙江せっこう省北東部の商業都市東シナ海に注ぐ甬江ようこうに臨み、古くから日本や南海との交易で繁栄した。茶・綿花・海産物集散地。浙江商人の本拠地。ねいは。

ねいは【寧波】

ニンポー

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「寧波」の意味・読み・例文・類語

ねいは【寧波】

  1. 中国、浙江省北東部の都市。甬江と余姚江の合流点にある。隋・唐代からわが国や朝鮮との連絡港で、遣隋使遣唐使勘合船などの入港地。上海発展によって衰えたが、解放後国際貿易港となる。浙江商人の本拠。ニンポー。

ニンポー【寧波】

  1. ねいは(寧波)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「寧波」の意味・わかりやすい解説

寧波(ニンポー)
にんぽー

中国、浙江(せっこう)省北東部の副省級市(省と同程度の自主権を与えられた地級市)。寧波(ねいは)ともいう。寧紹(ねいしょう)平原の東部、甬江(ようこう)の上流である姚江(ようこう)と奉化江(ほうかこう)の合流点に位置する。略称は甬。人口583万8000(2014)。鎮海(ちんかい)など6市轄区、象山(しょうざん)など3県を管轄し、余姚(よよう)など2県級市の管轄代行を行う(2016年時点)。秦(しん)代に(ぼう)県が置かれ、唐代に明州の治所となり、五代のとき呉越によって鄞(ぎん)県と改められ、明(みん)・清(しん)代は寧波府の治所であった。1949年、県の中心と近郊をあわせて市が設けられた。

 唐代より南海貿易の港として発達を遂げ、宋(そう)代には広州(こうしゅう)、杭州(こうしゅう)とともに市舶司が設けられるほど繁栄した。南宋以後は日本との往来も盛んになり、日本船が頻繁に来航したが、明代にはしばしば倭寇(わこう)の襲撃を受けた。清代には沿岸交通の一大中心として造船業も発達していた。1840年のアヘン戦争ではイギリス軍に占領され、1842年の南京(ナンキン)条約により開港させられたが、貿易は上海(シャンハイ)に集中し寧波は振るわなかった。中華人民共和国成立後、港湾が整備され、寧波港のほか鎮海、北侖(ほくりん)の外港が1970年代に建設された。1979年6月からは国際貿易港としても運用が開始され、1984年には沿海対外開放14都市の一つに指定された。2006年から寧波港は舟山(しゅうざん)市の舟山港との運営一体化が進められ、2015年9月両港の運営会社が合併した。2015年時点で寧波‐舟山港の取扱貨物量は世界1位、コンテナ取扱量は世界4位である。

 工業は紡績、家具、食品などの軽工業と小型機械工業が旧市街で発達している。鎮海、北侖の外港を核に重化学工業を中心とした臨海工業地区が建設され、多くの外資系企業が進出している。杭州湾南岸の平野ではイネ、綿花などが栽培され、周辺部は山地、丘陵が多くタケ、木材、茶、モモ、柑橘(かんきつ)類などを産する。市街近郊に寧波櫟社(れきしゃ)国際空港がある。

 市内には保国寺、天封塔、阿育王寺天童寺や中国現存で最古の蔵書楼である天一閣のほか、7000年前の揚子江(ようすこう)流域の文化を代表する河姆渡(かぼと)遺跡がある。

[林 和生・編集部 2017年4月18日]

世界遺産の登録

2014年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「中国大運河」の構成資産として、寧波運河と三江口(さんこうこう)(甬江・姚江・奉化江の合流点にあった河港跡)が世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。

[編集部 2017年4月18日]


寧波(ねいは)
ねいは

寧波

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「寧波」の意味・わかりやすい解説

寧波【ニンポー】

中国,浙江省東部,杭州湾口南部の都市。略称甬(よう)。甬江の下流にあり,唐代以来対外通商港となり,特に日本との交易の要地で,勘合貿易船の来航地であった。1842年南京条約により開港。また寧紹平野・舟山群島の物産を集散し,茶・綿・魚類の取引が多い。周辺一帯は商才にたけた寧波商人の出身地で,阿育王山,天童山など仏教の遺跡も多い。対外開放港の一つ。226万人(2014)。
→関連項目明州

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「寧波」の解説

寧波
ねいは
Níngbō

中国浙江 (せつこう) 省東部,杭州湾の南岸にある商業都市
南北朝時代以来,日本・朝鮮への海港であり,南海貿易の港であった。唐代には明州と呼ばれ,日本からの遣唐使船の入港地,明代には勘合貿易船の来航地であり,倭寇 (わこう) 防衛の根拠地でもあった。1842年の南京条約によって開港されたが,上海の発展におされて経済的地位は低下した。浙江財閥の主流には当地出身者が多い。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「寧波」の解説

寧波(ニンポー)
Ningbo[中],Ningpo[英]

中国浙江(せっこう)省東部の海港都市。唐代には明州(めいしゅう),明以後寧波という。日本との関係が深く,遣唐使以来明代の勘合貿易に至る出入港であった。清末の開港後は上海に繁栄を奪われた。


寧波(ねいは)

寧波(ニンポー)

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社日本史事典 三訂版 「寧波」の解説

寧波
ニンポー

中国浙江 (せつこう) 省東部にある貿易港
唐代から明州と呼ばれ,日本からの遣唐船の発着港。宋代(平安中期)以後,市舶司 (しはくし) が置かれ,対日貿易の門戸として繁栄した。明代(室町時代)になると,勘合貿易船の入港地と定められ,江戸時代にも寧波船は長崎に来航した。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

デジタル大辞泉プラス 「寧波」の解説

寧波

宮崎県串間市で生産されるキンカン。甘みが強く香りがよく、酸味は少なめ。1940年代~50年代にかけて県農業試験場が苗木を配布して生産が拡大。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android