中国、浙江(せっこう)省北東部の副省級市(省と同程度の自主権を与えられた地級市)。寧波(ねいは)ともいう。寧紹(ねいしょう)平原の東部、甬江(ようこう)の上流である姚江(ようこう)と奉化江(ほうかこう)の合流点に位置する。略称は甬。人口583万8000(2014)。鎮海(ちんかい)など6市轄区、象山(しょうざん)など3県を管轄し、余姚(よよう)など2県級市の管轄代行を行う(2016年時点)。秦(しん)代に(ぼう)県が置かれ、唐代に明州の治所となり、五代のとき呉越によって鄞(ぎん)県と改められ、明(みん)・清(しん)代は寧波府の治所であった。1949年、県の中心と近郊をあわせて市が設けられた。
唐代より南海貿易の港として発達を遂げ、宋(そう)代には広州(こうしゅう)、杭州(こうしゅう)とともに市舶司が設けられるほど繁栄した。南宋以後は日本との往来も盛んになり、日本船が頻繁に来航したが、明代にはしばしば倭寇(わこう)の襲撃を受けた。清代には沿岸交通の一大中心として造船業も発達していた。1840年のアヘン戦争ではイギリス軍に占領され、1842年の南京(ナンキン)条約により開港させられたが、貿易は上海(シャンハイ)に集中し寧波は振るわなかった。中華人民共和国成立後、港湾が整備され、寧波港のほか鎮海、北侖(ほくりん)の外港が1970年代に建設された。1979年6月からは国際貿易港としても運用が開始され、1984年には沿海対外開放14都市の一つに指定された。2006年から寧波港は舟山(しゅうざん)市の舟山港との運営一体化が進められ、2015年9月両港の運営会社が合併した。2015年時点で寧波‐舟山港の取扱貨物量は世界1位、コンテナ取扱量は世界4位である。
工業は紡績、家具、食品などの軽工業と小型機械工業が旧市街で発達している。鎮海、北侖の外港を核に重化学工業を中心とした臨海工業地区が建設され、多くの外資系企業が進出している。杭州湾南岸の平野ではイネ、綿花などが栽培され、周辺部は山地、丘陵が多くタケ、木材、茶、モモ、柑橘(かんきつ)類などを産する。市街近郊に寧波櫟社(れきしゃ)国際空港がある。
市内には保国寺、天封塔、阿育王寺、天童寺や中国現存で最古の蔵書楼である天一閣のほか、7000年前の揚子江(ようすこう)流域の文化を代表する河姆渡(かぼと)遺跡がある。
[林 和生・編集部 2017年4月18日]
2014年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「中国大運河」の構成資産として、寧波運河と三江口(さんこうこう)(甬江・姚江・奉化江の合流点にあった河港跡)が世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。
[編集部 2017年4月18日]
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中国浙江(せっこう)省東部の海港都市。唐代には明州(めいしゅう),明以後寧波という。日本との関係が深く,遣唐使以来明代の勘合貿易に至る出入港であった。清末の開港後は上海に繁栄を奪われた。
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