江連用水(読み)えづれようすい

日本歴史地名大系 「江連用水」の解説

江連用水
えづれようすい

県西部、鬼怒きぬ川東岸一帯を灌漑する用水。江戸初期には現真壁まかべ関城せきじよう町南西から現下妻市北西部にまたがる江村えむら沼、現下妻市域の大宝だいほう沼・沼を水源とする三沼溜井と、鬼怒川を水源とする中居指なかいざし用水・本宗道ほんそうどう用水・はら用水・三坂みさか用水のヶ用水の二つによって真壁郡豊田とよだ郡の鬼怒川・小貝こかい川の間の地域が灌漑されていた。四ヶ用水は寛永年間(一六二四―四四)関東郡代伊奈忠治の指導によって掘削されたもの。

享保年間(一七一六―三六)江村沼・大宝沼・砂沼が干拓されるにあたり、その代用水として幕府勘定吟味役で紀州流治水技術者の井沢弥惣兵衛為永の設計・監督のもとに下野国上江連村(現栃木県芳賀郡二宮町)で鬼怒川より取水する江連用水(旧溝)が享保一一年に掘削された。長さは一万二千五〇〇間余に及び、真壁郡四三ヵ村・豊田郡北部九ヵ村の約二万六千六五六石の地が灌漑されることになったが、用水の維持管理は困難を極めた。このため天明年間(一七八一―八九)には三沼溜井復興の請願が幕府へ繰返され、寛政三年(一七九一)に至って費用・労力を農民側の負担とする条件で、溜井復興と江連用水廃棄が認可された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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