沈村里遺跡(読み)ちんそんりいせき(その他表記)Simch`onni-yujǒk

改訂新版 世界大百科事典 「沈村里遺跡」の意味・わかりやすい解説

沈村里遺跡 (ちんそんりいせき)
Simch`onni-yujǒk

朝鮮民主主義人民共和国,黄海北道黄州郡沈村里にある無文土器(青銅器)時代の墳墓遺跡。遺跡は黄州と沙里院の間にある正方山の北西側の丘陵地から平野にわたって立地し,数基から数十基の支石墓群が集中的に分布することが知られていたが,1958,59年に学術調査が実施され,4基の竪穴式住居跡と29基の支石墓群が発掘された。そのうち,沈村中学校東側の平地で調査された竪穴式住居跡は3基で,いずれも平面長方形である。住居跡からの出土品には,無文土器の一種であるコマ形土器と,磨製の石剣,石槍,石鏃,石斧,石鑿石庖丁石貨,紡錘車,砥石など,豊富な石器群が含まれる。支石墓にはテーブル形もあるが,多くは地上に巨石を置いた碁盤形であり,積石によって形成された一つの墓域のなかに,箱式石棺を内部施設としてもつ支石墓数基が配置されるという構造形式も認められた。これらの支石墓群は,キン洞,天真洞,新垈洞,棘城洞など7ヵ所に散在し,その数は200基以上と推測される。支石墓出土の副葬品には,磨製の石剣,石鏃,石貨などがあり,積石の墓域中の採集品には,磨製の有段石斧,石槍などが知られる。また,箱式石棺や積石の中からコマ形土器が採集されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の沈村里遺跡の言及

【積石塚】より

… 朝鮮では,無文土器(青銅器)時代にすでに認められる。すなわち,北部の黄海北道沈村里遺跡や,南部の大邱直轄市大鳳洞遺跡でみられるように,支石墓,箱式石棺,竪穴式石室などの埋葬施設を補強するために,その周囲に積石を行い,しかも,それらが数基密集して築かれた結果,一定の墓域を形成するような例がある。しかし本格的な積石塚は,《三国志》魏書高句麗伝に〈積石為封〉とあるように,三国時代高句麗の前・中期に特徴的な墓制として有名である。…

※「沈村里遺跡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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