磨製石斧(せきふ)の一種。鑿形石斧。全体の形は柱状、板状。断面形は正方形、長方形、台形を呈し、刃は側方からみて左右非相称(片刃(かたは))のものが多い。しかし左右相称(両刃(りょうば))のものも含まれる。日本では弥生(やよい)時代の柱状片刃石斧、扁平(へんぺい)片刃石斧にあたる。鑿の刃身に似ていることからこの名がある。しかし、鑿は、刃身の根元からその延長線上にまっすぐ柄(え)が伸びるのに対して、「石鑿」には「へ」の字に曲折した膝柄(ひざえ)がつき、刃先と柄とがなす角度は、鍬(くわ)の場合と同様、90度前後となるから、鑿に例えるのは適当とはいえない。えぐり、削るなど木材の加工を主用途とするが、ニューギニアなどでは伐採、荒割りにも用いた。
[佐原 真]
…以後,板材の表面を加工斧と鉇(やりがんな)で仕上げることが長く続き,室町時代に縦引鋸(たてびきのこ)が普及して台鉋(だいかんな)にその座を譲り,加工斧は衰えた。なお考古学で斧とよぶもののうち,特に石斧には,柄をつけない楔(くさび)を含む可能性があり,また石鑿(いしのみ)とよぶものには,斧として使ったものを含む可能性がある。いずれも本来の柄の有無,形状が明らかでないため正しい使い方は明確でない。…
※「石鑿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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