沼田本市(読み)ぬたほんいち

日本歴史地名大系 「沼田本市」の解説

沼田本市
ぬたほんいち

[現在地名]三原市沼田東町本市

沼田川南岸に立地した沼田庄内の市場。対岸新市しんいちとともに沼田の市と称された。沼田庄地頭小早川茂平による沼田川干拓事業によって河口が東に延び、自然堤防上に市場が成立した。応長二年(一三一二)二月四日付の四郎太郎友氏嫡子孫六連署売券案(蟇沼寺文書)によると、南北大道の間にある市場屋敷を市の住人が売買するほどの市場集落が形成されている。暦応三年(一三四〇)四月二六日付の小早川円照置文案写(小早川家文書)によると、小早川氏の被官人のなかに市場居住者がおり、文和二年(一三五三)四月二五日付の安芸沼田庄市場禁制写(同文書)で貞平が市場居住を禁ずるなど、沼田の市場は沼田小早川家の統制下に置かれ、市場商人は干拓事業や応永四年(一三九七)創立の仏通ぶつつう寺の造営費の一部を負担した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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