三原市(読み)ミハラシ

デジタル大辞泉 「三原市」の意味・読み・例文・類語

みはら‐し【三原市】

三原

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「三原市」の解説

三原市
みはらし

面積:二〇四・三二平方キロ

県の東南部、安芸と備後の境にあり、北部の山間部、沼田ぬた川流域の低地部、瀬戸内海沿岸部と島嶼部とからなる。東は尾道市、北は御調みつぎ郡御調町・久井くい町、西は豊田郡本郷ほんごう町、南西は竹原市、南は海で豊田郡瀬戸田せとだ町、南東は因島市に接する。北部に竜王りゆうおう山・大峰おおみね山山系、東部に鳴滝なるたき山・はちみね山系、南部に畑山はたのやま山系があり、本郷町から東流する沼田川の本支流域と、竜王山北麓に発して北東流する御調川支流の八幡やはた川、北東部の大谷おおだに山から発して南西流する和久原わくばら(湧原川・涌原川・阿久原川)、東部山地から発する藤井ふじい川などの流域に谷や低地が広がり、沿岸部や島嶼部の緩傾斜面、吉備高原の最末端にあたる畑山山上平坦面とに耕地と集落が展開する。国鉄山陽新幹線・山陽本線、国道二号が市域を東西に貫通し、国鉄三原駅は国鉄呉線の分岐点にあたる。

三原の地名は「和名抄」所載の御調郡柞原みはら郷が初見で、永和三年(一三七七)から三年がかりで書写された大般若経(世羅郡世羅町永寿寺蔵)に「備後国御調郡三原金剛寺」の奥書があり、現西野にしの町に三原詰みはらづめの地名がある。豊臣秀吉上洛御泊次第写(小早川家文書)に「みわら」、慶長元年(一五九六)一月一九日に三原に一泊した二十六聖人の一人トマス小崎が母親に宛てた書状をルイス・フロイスがスペイン語訳したもの(「芸備キリシタン史料」所収)MIVARAとあり、慶長一七年八月一一日付の福島正則判物(「三原志稿」所収)にも「三わら町」とあるので、当時、「みわら」と発音されていたことがわかる。「三原志稿」には「土俗のまをし伝へしハ、涌原今阿久原といふ、駒ケ原、小西原、此三ツの原より出ぬる河の流れ落あひ海に入る所なるもて三原と号といふ」と記す。

〔原始・古代〕

先土器時代の遺物が宿禰すくね島で表面採集されており、縄文時代遺跡は瀬戸内海に面する時貞ときさだ遺跡のほか市域に一五ヵ所が確認されている。小坂おさか町には貝持かいもち貝塚がある。弥生時代の遺跡は約二〇ヵ所に及ぶが、集落跡や水田跡などは未発見。沼田川南岸の沼田西ぬたにし松江まつえ一帯は市域では稲作が早く始められたところと考えられる。御調みつき八幡宮付近から出土と伝える銅戈は県東部では唯一の出土例。西野町ではかつて明刀銭が出土したと伝える。一五〇基を超える古墳の存在が確認されているが、大半は沼田川本支流域に分布する。

市域は古代の御調郡西南部と沼田郡東端部にあたり、「和名抄」所載の郷のうち市域にかかわるものは備後国御調郡柞原郷、安芸国沼田郡今有いまり郷・安直あちか郷・真良しんら郷で、御調郡佳質かしと郷を八幡町一帯に比定する説も有力である。


三原市
みはらし

2005年3月22日:三原市と御調郡久井町、豊田郡本郷町、賀茂郡大和町が合併
【久井町】広島県:御調郡
【三原市】広島県
【本郷町】広島県:豊田郡
【大和町】広島県:賀茂郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三原市」の意味・わかりやすい解説

三原〔市〕
みはら

広島県南部,瀬戸内海に臨む市。吉備高原の一部と沼田川流域の平野を占め,佐木島などを含む。 1936年市制。 1951年深田村の一部,1953年八幡村,長谷村の2村,1954年沼田西村,小泉村,沼田東村の3村,1956年幸崎町と高坂村,鷺浦村の2村をそれぞれ編入。 2005年本郷町,久井町,大和町の3町と合体。中心市街地の三原は沼田川の三角州に位置し,古くから山陽道の交通の要地で,天正 10 (1582) 年小早川氏の築城以来,城下町として発展。沼田川の工業用水に恵まれ,干拓地に 1920年代後半以降,大企業の工場が進出し,特に化学繊維の大工場が立地して工業都市へと脱皮。 1963年備後工業整備特別地域に指定され,繊維,セメント,産業機械,食品などの工業が発達。伝統の酒造業も行なわれる。北部の農村部では米作や畜産,モモなどの果樹栽培が行なわれる。三原城跡 (小早川氏城跡,史跡) ,米山寺 (べいさんじ) ,仏通寺などの古刹がある。市域の一部は瀬戸内海国立公園竹林寺用倉山県立自然公園仏通寺御調八幡宮県立自然公園に属する。久井の岩海,ナメクジウオ生息地,沼田西のエヒメアヤメ自生南限地帯は天然記念物。南部を山陽新幹線,JR山陽本線,呉線,国道2号線,185号線,432号線などが通じる。西部に広島空港がある。面積 471.51km2。人口 9万573(2020)。

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