泉穴師神社(読み)いずみあなしじんじや

日本歴史地名大系 「泉穴師神社」の解説

泉穴師神社
いずみあなしじんじや

[現在地名]泉大津市豊中

我孫子あびこの宮ともいい、「延喜式」神名帳和泉郡の「泉穴師アナシノ神社二座」に比定される。もと単に穴師神社と称したが、大和の穴師神社(現奈良県桜井市)と区別するために泉を冠したという(泉州志)。和泉国二宮で、正平六年(一三五一)六月日付の穴師神宮寺寺僧等目安状案(薬師寺文書)に「和泉国第二社穴師神宮」とみえる。旧府社。現在の祭神は天忍穂耳尊・栲幡千千姫命であるが、祭神については古来諸説ある。穴師とは風の名であることから風神である級長津彦・級長津姫とする説(泉州志)、「新撰姓氏録」(和泉国神別)にみえる穴師神主の祖である天富貴命と古佐麻豆智命とする説(和泉国地誌)、「延喜式」(玄蕃寮)に和泉国安那志あなし社が新羅客人に与える神酒の料稲を一部負担したとあることから御食津神を祀ったとする説(神祇志料)などがある。元禄九年(一六九六)泉邦四県石高寺社旧跡并地侍伝によると、江戸時代すでに現祭神の天忍穂耳命が祀られている。

創建時は不明。天平一〇年(七三八)四月五日付の和泉監正税帳(正倉院文書)には「穴師神戸税」を貯蔵する倉庫がみえており、律令国家が当社の調度祭祀に必要な財源を設置していたことがわかる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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