玄蕃寮(読み)ゲンバリョウ

デジタル大辞泉 「玄蕃寮」の意味・読み・例文・類語

げんば‐りょう〔‐レウ〕【玄×蕃寮】

律令制で、治部省に属し、寺院僧尼名籍外国使節接待などをつかさどる役所。げんばのつかさ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「玄蕃寮」の意味・読み・例文・類語

げんば‐りょう‥レウ【玄蕃寮】

  1. 〘 名詞 〙 令制での官司の一つ。治部省の管轄下にあり、外国人の送迎接待や、仏事、僧尼の名籍等を扱う。職員に頭(かみ)・助(すけ)・大少允(じょう)・大少属(さかん)各一人、史生四人、そのほかがある。ほうしまろうどのつかさ。げんばのつかさ。げんばんのつかさ。げんば。
    1. [初出の実例]「玄蕃寮 頭一人。〈掌仏寺。僧尼名籍。供斎。蕃客辞見讌饗送迎。及在京夷狄。監当館舎〉」(出典令義解(718)職員)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「玄蕃寮」の意味・わかりやすい解説

玄蕃寮 (げんばりょう)

日本古代の令制官司。玄は僧,蕃は海外諸国の意で,《和名抄》は〈ほうしまらひと(法師客人)のつかさ〉と訓じている。治部省の管轄下にあって,京内の寺院・仏事,諸国の僧尼の掌握,外国使節の接待,鴻臚館(こうろかん)の管理などをつかさどった。中国では玄は道教を意味し,隋・唐では崇玄署という道士(道教を修めた人)を監督する役所が設けられたが,この役所は同時に僧尼に関することも担当した。玄蕃寮の〈玄〉はおそらくこの役所に由来するもので,日本には道士が存在しなかったので,玄で僧侶のみを指すことになったのであろう。僧侶と外交では奇妙な取合せのようであるが,当時僧侶には海外で学ぶものが多く,外交と近縁であったためといわれる。職員は頭(かみ)・助(すけ)・大允(だいじよう)・少允・大属(だいさかん)・少属各1人,史生(ししよう)4人のほか,使部(しぶ)・直丁(じきちよう)などの雑用係がいた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「玄蕃寮」の意味・わかりやすい解説

玄蕃寮【げんばりょう】

治部省所属の令制官司。玄は僧,蕃は海外諸国。和訓は〈ほうしまらひとのつかさ〉。職掌は京内の寺院・仏事,諸国の僧尼の掌握と外国使節の接待など。職員は頭(かみ)・助(すけ)・大允(だいじょう)・少允・大属(だいさかん)・少属各1人,史生(ししょう)4人ほか。→大宝律令養老律令

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「玄蕃寮」の意味・わかりやすい解説

玄蕃寮
げんばりょう

律令制のもとで治部省に属し仏寺や僧尼の名籍,唐や三韓などの外国人の接待などを司った役所。『和名抄』には「法師客人 (まらうと) の司」と記され,『令聞書』には「玄は法師,蕃は諸蕃のことなり」と述べられている。唐の鴻臚寺にあたるものである。 (→鴻臚館 )

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android