波旬(読み)ハジュン

デジタル大辞泉 「波旬」の意味・読み・例文・類語

はじゅん【波旬】

《〈梵〉Pāpīyāsの音写悪者の意》仏語。人の命や善根を断つ悪魔

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精選版 日本国語大辞典 「波旬」の意味・読み・例文・類語

はじゅん【波旬】

(Pāpīyas の変化したもの。殺者または悪者と訳す) 釈迦修道を妨げようとした魔王の名。天魔。はずん。〔三教指帰(797頃)〕 〔慧琳音義‐一〇〕
[補注]梵語の音写と考えるには「旬」の音が問題となる。挙例の「慧琳音義」には「波俾掾(ハヒエン)」の「俾」を略して「波(ハケン)」とし、その「」を誤って「旬」としたという説が紹介されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「波旬」の意味・わかりやすい解説

波旬
はじゅん

サンスクリット語のパーピーヤスpāpīyas、パーリ語のパーピマントpāpimantの音写で、悪意(パーパ)ある者の意。仏典には、仏や仏弟子を悩ます悪魔、魔王として登場し、しばしば魔波旬(マーラ・パーピマントmāra-pāpimant)とよばれる。魔(マーラmāra)は殺す者の意。個人心理的には安定(悟り)に対する不安定(煩悩(ぼんのう))の、集団心理的には新勢力(仏教)に対する旧勢力(バラモン教)の象徴と考えられる。

[片山一良]

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