デジタル大辞泉
「魔王」の意味・読み・例文・類語
まおう【魔王】[作品名]
《原題、〈ドイツ〉Erlkönig》ゲーテの詩にシューベルトが作曲した歌曲。1815年作。嵐の中、父が子を抱いて家路を急ぐが、魔王に子の魂を奪いとられてしまう。
《原題、〈フランス〉Le Roi des aulnes》トゥルニエの小説。1970年刊。同年のゴンクール賞を受賞。
塚本邦雄の歌集。平成5年(1993)刊。第16回現代短歌大賞を受賞。
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ま‐おう‥ワウ【魔王】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 天魔の王。欲界の頂にある第六他化自在天に住し、常に正法を害し衆生が仏道にはいるのを妨げる者。
- [初出の実例]「魔王の子有、名をば薩陁と云ふ」(出典:今昔物語集(1120頃か)一)
- [その他の文献]〔首楞厳経‐六〕
- ② 転じて、人に災いを与えたり悪の道に誘い込んだりする魔物。また、人をののしっていう。悪魔。
- [初出の実例]「われにをとらぬ、いこくのまわうのやうなる、とのばらたちを、十人めしつれて」(出典:説経節・をくり(御物絵巻)(17C中)五)
- ③ 悪魔の王。
- [ 2 ] シューベルトが、ゲーテの詩に作曲した連作歌曲の一つ。一八一五年作曲。
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魔王
まおう
Erlkönig
シューベルトが1815年、18歳のときにゲーテの詩に作曲した通作歌曲(作品1、D328)。馬の疾走するさまを描くピアノ伴奏のうえに、わが子を抱いて馬を駆る父親、父にいたわられつつも恐怖におののく男の子、甘言をもって子供の魂を奪い去ろうとする魔王、そして語り手という四者のことばが、声を使い分けて劇的に歌われる。子供の死という悲劇的な結末をもつこのバラードによった作品は数多いが、シューベルトのもの以外では、カール・レーベが1818年に作曲した歌曲がよく知られている。
[三宅幸夫]
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まおう【魔王】
鹿児島の芋焼酎。「森伊蔵」「村尾」とともに芋焼酎の「3M」といわれ、焼酎ブームを牽引した銘柄。酒名は、天使を誘惑し、魔界への最高のお酒を調達する悪魔たちによって、もたらされた特別のお酒という意味で命名。日本酒に使用する黄麹を使用してしこむため、柑橘類のようなフルーティーな香りを持つ。原料はさつま芋、米麹。アルコール度数25%。蔵元の「白玉醸造」は明治37年(1904年)創業。ほかに芋焼酎「白玉の露」、芋麦焼酎「元老院」、芋米焼酎「天誅」などの銘柄もある。所在地は肝属郡錦江町城元。
出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報
魔王〔曲名〕
オーストリアの作曲家フランツ・シューベルトの歌曲D328(1815?)。原題《Erlkönig》。ゲーテの原詩に基づく。『野ばら』とともに、シューベルト初期の傑作として知られる。
魔王〔小説〕
伊坂幸太郎の中編小説。2005年、続編にあたる「呼吸」とあわせて刊行。漫画化作品もある。
魔王〔芋焼酎〕
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魔王
まおう
Der Erlkönig
1782年にゲーテが,デンマークの民間バラード『魔王の娘』に基づいて書いた詩に作曲した歌曲。シューベルトが 18歳のときの作品 (1815) が最も有名であるが,ほかに J.ライヒャルト (1794) や J.レーベ (1818) の作品が知られる。
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世界大百科事典(旧版)内の魔王の言及
【シューベルト】より
…16歳の変声と共に神学校を去り,教員養成課程に進み,父の学校の助手として働きながら作曲を続けた。17歳のときに《交響曲第1番》ニ長調を,そして《糸を紡ぐグレートヘン》を,さらに翌1814年,《野ばら》《魔王》《たゆみなき愛》等のリートの名作を作り,歌曲作曲家としての将来を決定づけた。友人の勧めでゲーテの詩によるリートをゲーテに送って無視されたのもこの時期である。…
【レーウェ】より
…作品はバラードなど歌曲が中心で《三つのバラーデ》(作品1。1824)に収められたゲーテの詩による《魔王》は代表作。ほかに《鳥刺しハインリヒ》(作品56の1。…
※「魔王」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」