ことわざを知る辞典 「泣きっ面に蜂」の解説
泣きっ面に蜂
[使用例] 一と月余り通ったある日、淋巴腺が痛みだし腫れて発熱した。やがて化膿して痛みは去ったが腫れは引かず
[使用例] 隊員の意見も不一致、最も信頼していた斉藤隊員は任期が終わって帰国することになった。また私生活の面では空き巣ねらいに荒らされた。ボールペン、〈略〉ノート、目覚まし時計、食物など、たび重なる盗難も防ぎようもない。まさに泣き面に蜂とはこのことだった[山本茂実*日本青年は健在だった|1985]
[解説] ただでさえ辛いときに、さらに不運が重なるたとえで、世界中に類例がありますが、そのなかでも、この表現は目に浮かぶような巧みな比喩で、印象深いものがあるといえるでしょう。多くは、ついていないときに自ら想起したり、後で回想する文脈で用いられています。
江戸中期から「泣きっ面を蜂が刺す」などのやや長い形で用いられ、後期には江戸いろはかるたに収録されて広く知られました。二〇世紀に入ると「泣きっ面に蜂」が優勢となり、現代ではもっぱらこの形で使われています。
[類句] 弱り目にたたり目/踏んだり蹴ったり
〔英語〕Misfortunes never come singly.(不運は単独で来やしない)
〔中国〕屋漏、偏遭連夜雨(雨漏りにあいにく連夜の雨)
〔朝鮮〕엎친 데 덮친다(倒れたところへ覆いかぶさる)
出典 ことわざを知る辞典ことわざを知る辞典について 情報