大学事典 「洋学塾」の解説
洋学塾
ようがくじゅく
蘭学を中心とする西洋の学問を教えた私塾。幕末開港後は蘭学以外も教えるようになった。蘭学塾では大槻玄沢の芝蘭堂(天明6年,江戸に開設),シーボルトの鳴滝塾(文政7年,長崎郊外),坪井信道の安徳堂(文政12年,江戸)と日習堂(天保3年,江戸),伊東玄朴の象先堂(天保4年,江戸),緒方洪庵の適々斎塾(適塾,天保9年,大坂),佐藤泰然(和田泰然)の和田塾(天保9年,江戸)と順天堂(天保14年,下総佐倉),新宮涼庭の順正書院(天保10年,京都)などが著名。幕末の開港以後は,蘭学以外に英学・仏学などが教えられるようになった。福沢諭吉の蘭学塾(安政5年,江戸)では1863年(文久3)頃から英学が教えられ,1868年(慶応4)には慶應義塾と改称した。仏学塾では,中江兆民の仏蘭西学舎(のち仏学塾,明治7年,東京)などがある。また近藤真琴の攻玉塾(のち攻玉社,明治2年,江戸)では数学や航海術が,箕作秋坪の三叉学舎(明治1年,東京)では漢学や数学や英語が教えられた。順天堂,慶應義塾,攻玉塾など,洋学塾のなかには近代的な高等教育・中等教育機関に引き継がれたものもある。
著者: 冨岡勝
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報