津久見(市)(読み)つくみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「津久見(市)」の意味・わかりやすい解説

津久見(市)
つくみ

大分県南東部にある市。豊後(ぶんご)水道西側リアス海岸の一湾、津久見湾に面する。1951年(昭和26)津久見町と日代(ひじろ)、四浦(ようら)、保戸島(ほとじま)の3村が合併して市制施行。市名は中世の津久見浦による。九州山地東部にあたる彦(ひこ)岳など500~600メートルの古生層山地に囲まれ、湾頭の小平地に市街が発達する。JR日豊(にっぽう)本線と国道217号が通じ、東九州自動車道の津久見インターチェンジがある。周囲の砂岩の風化した壌土よりなる急斜面に約600ヘクタールの温州(うんしゅう)ミカン、サンクィーン、夏ミカンなどの農園が広がり、缶詰工場もある。石灰臼杵藩(うすきはん)の特産であった。1919年(大正8)セメント工場ができてからは石灰岩の採掘が大規模になり、太平洋セメントの工場をはじめ、石灰や炭酸カルシウムの工場が海岸に並び、石灰岩・セメントはアジア諸国に輸出される。湾口の保戸島はマグロ延縄(はえなわ)漁業の基地。1本で4アールに及ぶ尾崎小ミカン先祖木(おさきこみかんせんぞぼく)(国指定天然記念物)や大友宗麟(そうりん)の墓がある。面積79.48平方キロメートル、人口1万6100(2020)。

[兼子俊一]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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