活貧党(読み)かっぴんとう

改訂新版 世界大百科事典 「活貧党」の意味・わかりやすい解説

活貧党 (かっぴんとう)

李朝末期の朝鮮中・南部で活動した農民の武装集団。甲午農民戦争(1894)や乙未義兵闘争(1895)ののち侵略と生活破綻がいっそう深刻化する状況のもと,全国各地で火賊,東匪,南学などと呼ばれる農民集団の武力闘争が展開されたが,それらの一つが活貧党である。1899年ごろ忠清道地方に出現し,1904年ごろまで中部および南部朝鮮の各地に出没した。悪法の廃止,外国商人の活動厳禁など救国安民の綱領をかかげ,姦悪な官吏をこらしめ,富民の財産を没収して貧民に分配するなどの活動を行った。名称や闘争形態のモデルとなっているのは,17世紀初頭に許筠が著した小説《洪吉童伝》で,その主人公は縮地法・変身法などの術を駆使して悪官をこらしめ,理想社会の建設を目ざす。綱領によれば中央の儒生による指導がうかがえるが,内部規律が厳格であったらしく,組織の詳しい実態は知られていない。日露戦争後,その中心部分は反日義兵闘争に合流していった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の活貧党の言及

【洪吉童伝】より

…洪吉童は名門洪判書の子として生まれながら,庶出のため父を父と呼ぶことさえ許されない。彼は家庭内での賤待と自分を無き者にしようとする陰謀に,家出して盗賊の群れに投じ,〈活貧党〉の首領となる。神出鬼没の幻術を駆使して貪官汚吏や寺刹の財宝を奪い,八道を横行する。…

※「活貧党」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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