精選版 日本国語大辞典 「海人の両手肩」の意味・読み・例文・類語
あま【海人】 の 両手肩(まてがた)
- ( 「まてがた」は両手両肩の意 ) あまが潮水を汲み入れて運んだり、藻塩草を刈り集めたりするとき、両手両肩を使って忙しく働くこと。「いとまなみ」「かきあつむ」などに、また、同音で「待て」などが続く。
- [初出の実例]「伊勢の海のあまのまてがたいとまなみながらへにける身をぞうらむる〈源英明〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)恋五・九一六)
海人の両手肩の補助注記
( 1 )語源および、かかり方には(イ) 藤原定家の「三代集之間事」では、藤原基俊の説として、海人がマテ(馬蛤)という貝をとるのは、砂に出来たマテのもぐった跡を目印にして取るので馬蛤形といい、その労働はわずかの暇に忙しく貝をとるので「いとまなみ」と続ける。(ロ) 藤原清輔の「奥義抄」や顕昭の「六百番陳状」の説では、「まてがた」は「まくかた」の誤りで、製塩後、砂を潟に播くことをいい、これを干潮の間に急いで行なうので「いとまなみ」と続ける。(ハ) 「まてがき」の誤りで、あまが泳ぐときには左右の手で休みなく水を掻くので、「いとまなし」と続けるなど、諸説ある。
( 2 )「日葡辞書」には、「製塩用の道具」という説明がある。