改訂新版 世界大百科事典 「消化器科」の意味・わかりやすい解説
消化器科 (しょうかきか)
消化吸収に関係する内臓の病気を診療し研究する医学の部門をいう。胃腸科gastroenterologyとも呼ばれ,今日でも欧米ではこの名称が多く用いられている。日本では1896年に東京に開設された胃腸病院が最初の専門病院で,胃潰瘍に悩まされた夏目漱石も入院している。同病院長の長与称吉(1866-1910)が1898年に創始した胃腸病研究会は,1902年に日本消化機病学会と改称され,第2次世界大戦後に日本消化器病学会と改められた。消化器科の名称が広く用いられるようになったのは比較的最近のことで,消化器内科と消化器外科に分かれている。対象とするおもな病気は,食道癌,胃潰瘍,胃癌,胃炎,十二指腸潰瘍,下痢腸炎,大腸癌,肝炎,肝硬変症,肝臓癌,胆石症,膵炎,膵癌などである。
執筆者:多賀須 幸男
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