日本大百科全書(ニッポニカ) 「消費組合運動」の意味・わかりやすい解説
消費組合運動
しょうひくみあいうんどう
生産者や問屋から日用品などを購入して組合員に廉価で供給する、消費者の協同組織の運動。1879年(明治12)に上層士族らによって組織され、短期間で消滅した共立商社、同益社などがその端緒である。98年には、鉄工組合や日本鉄道矯正会を基盤にして共働店運動が展開されたが、治安警察法の圧迫のもとで数年のうちに衰退し、その後は、企業付属の購買組合や官吏による組合が主流であった。しかし大正デモクラシー期には、月島(つきしま)購買組合、家庭購買組合などの新興消費組合運動が台頭し、その流れは、1926年(大正15)成立の関東消費組合連盟、32年(昭和7)創立の日本無産者消費組合連盟に連なっていった。大恐慌期における高揚のあと、ファシズム化の進展とともに運動は困難となり、やがてほとんど壊滅させられるに至った。しかし敗戦後の未曽有(みぞう)の食糧難のなかで急速に再建され、48年(昭和23)には消費生活協同組合法が成立、51年には日本生活協同組合連合会が創立され、その後の高度経済成長のもとで消費組合運動は順調に発展してきた。今日においては、「よりよい物をより安く」「いのちとくらしを守る」などのスローガンを掲げた大衆運動として、反独占の民主主義運動の重要な一翼を担っている。
[三輪泰史]
『山本秋著『日本生活協同組合運動史』(1982・日本評論社)』