日本大百科全書(ニッポニカ) 「液状ゴム」の意味・わかりやすい解説
液状ゴム
えきじょうごむ
liquid rubber
架橋および鎖延長反応によってゴム弾性体となる合成ゴムの総称。流動性のある分子量が数千の鎖状分子であり、両末端にアミノ、ヒドロキシ、カルボキシ(カルボキシル)、イソシアナート、チオール、あるいはハロゲンなどの官能基をもっている。プレポリマーあるいはテレキリック(両末端官能性)ポリマーともいう。これに鎖延長ならびに架橋剤として多官能性のアミンやイソシアナートなどと架橋促進剤、ほかの配合剤を加え成形加工して製品とする。液状ゴムは、鎖状分子構造によって、ジエンゴム系(1,2-BR、1,4-BR、1,4-IR、SBR、NBR、CR、IIR)、シリコーンゴム系、ウレタンゴム系、および多硫化ゴム系の4種類がある。分子鎖両端で連結するので、網目構造に参加しない末端自由鎖の部分が通常の加硫ゴムより少ない。成形加工が容易であり、通常のゴムのような多くの工程を必要とせず、大形装置を必要としないなどの利点がある。複雑な形状の成形物や、狭い空間のシーリング材などの用途に有用である。
[福田和吉]