ウレタンゴム(読み)うれたんごむ(英語表記)urethane rubber

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウレタンゴム」の意味・わかりやすい解説

ウレタンゴム
うれたんごむ
urethane rubber

特殊合成ゴムの一種。ポリウレタンゴムあるいはウレタンエラストマーともよばれる。ASTMインターナショナル(旧、アメリカ材料試験協会)の規格による略称はU。その発泡体はウレタンフォームという。製法は、まず両末端にヒドロキシ基をもつ液状のポリエーテルジオール、またはポリエステルジオールとジイソシアナートの重付加反応によって適当な分子量のプレポリマーを合成する。プレポリマーは分子鎖にウレタン結合-RNHCOOR'-をもつので、この名称がある。ポリエーテルタイプはEU、ポリエステルタイプはAUと略称(ASTM準拠)。

 成形法によって、(1)注形加工するキャストタイプ、(2)通常のゴムのように加工するミラブルタイプ、および(3)射出成形加工する熱可塑性タイプの3種類がある。(1)のタイプは、液状ゴムとよばれ、両末端がヒドロキシ基あるいはイソシアナート基の液状プレポリマーであり、それぞれ、ポリイソシアナートあるいはポリアミンポリオール、水などで架橋して三次元網目構造のゴムとなる。水が架橋剤および原料に発泡剤を加えた場合など、発泡ポリウレタンが得られる。(3)のタイプは、熱可塑性エラストマーとよばれ、長鎖状ポリウレタンであり、プラスチックのように成形できる。(1)のタイプがもっとも多く使われ、軟質から硬質に至るゴムやスポンジ、フォームなど多様な品種のゴムがつくられている。機械的強度や耐摩耗性が優れ、大きな耐荷重性があり、耐オゾン性や耐油性もよい。しかし、耐熱性や耐薬品性が劣り、ポリエステル形は加水分解に注意が必要である。用途は自動車や寝具・家具用のクッション材、機器や土木建築用の緩衝・断熱材、靴底、ベルトホースパッキング、低速運搬用ソリッドタイヤ、その他の工業用ゴム製品などである。

[福田和吉]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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