淵瀬(読み)フチセ

デジタル大辞泉 「淵瀬」の意味・読み・例文・類語

ふち‐せ【×淵瀬】

淵と瀬。川の深くよどんだ所と浅くて流れの速い所。
古今集・雑下の「世の中は何か常なる飛鳥川昨日の淵ぞ今日は瀬になる」などから》世の中の移りやすく無常なことのたとえ。「淵瀬のならい」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「淵瀬」の意味・読み・例文・類語

ふち‐せ【淵瀬】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 淵と瀬。水の深い所と浅い所。
    1. [初出の実例]「三川の淵瀬(ふちせ)もおちず小網(さで)さすに衣手濡れぬ干す児は無しに」(出典万葉集(8C後)九・一七一七)
  3. ( 渡りやすい瀬と渡りにくい淵を見わける判断力の意 ) 物事理非適否などを判断すること、またその能力。多く「淵瀬も知らず」の形で用いる。
    1. [初出の実例]「をさなき子に文をとらせて、ふちせもしらせず責めさするは、かしこきわざかな」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)
  4. ( 「古今‐雑下」の「世の中は何か常なるあすかがは昨日のふちぞ今日は瀬になる〈よみ人しらず〉」などから ) 世の中や人事が絶え間なく移り変わって定めないことやその状態をいう。
    1. [初出の実例]「さだめなき世をきくころの涙こそ袖の上なるふちせなりけれ」(出典:伊勢集(11C後))

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