日本大百科全書(ニッポニカ) 「混濁尿」の意味・わかりやすい解説
混濁尿
こんだくにょう
濁っている状態の尿をいう。ガラスの容器に尿を入れ、光に透かして見ると混濁がわかる。正常人でも尿のpHや温度、食物により尿中の塩類が析出して濁ることがある。尿を加熱して混濁が消失すれば尿酸塩による混濁で、肉類を多食したとき、高尿酸血症などで認められる。酢酸で酸性にしたとき、ガスを発して混濁が消失すれば炭酸塩、ガスをそのとき発生しなければリン酸塩、硝酸液を加えて混濁が消失すればシュウ酸塩による混濁である。このほか疾病のある場合にも尿は混濁する。膿(のう)尿は尿の中に白血球が大量に混ざるもので、尿路の炎症を意味し、多くの場合、細菌も認められる。細菌尿のみで混濁することはまれである。血尿は赤血球が主体となった混濁で、腫瘍(しゅよう)、結石、炎症、外傷、循環障害などが原因になっておこるものである。乳糜(にゅうび)尿は、リンパ液が尿中に混入するもので、牛乳のように尿が白濁し、脂肪の多いものを食べるとその濁りが増強する。これに血尿が混ざると、小豆(あずき)とぎ汁状と表現される乳糜血尿になる。
[河村信夫]