渡地村
わたんじむら
[現在地名]那覇市東町
東村の属村で、那覇の南東部に位置した小島。北は唐船小堀を挟み東村、南と東・西は那覇港に面する。「琉球国由来記」には荒神堂や硫黄城がみえる。唐船小堀はもと中国への進貢船の係留地(「球陽」附巻尚貞王二二年条)。東村と結ぶ思案橋は、村内にある遊里の渡地に通う人にちなんで名付けられたという(同書同年条)。「渡地」「思案橋」は琉歌にもしばしば登場する(「琉歌百控」「琉歌大観」など)。硫黄城は「沖縄志」の那覇港図によると島の東端にあり、もと中国への進貢品の硫黄の貯蔵施設と考えられているが、一方で那覇港内にあって向い合う御物城と対となって港の防御線をなしていたと考えられている。かつての那覇港は久茂地川の河口に位置していたとみられるからで、港の拡大発展により、一六世紀中頃には新たに三重城、屋良座森城が築かれ、防御線が移ったと考えられている。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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