改訂新版 世界大百科事典 「温祚王」の意味・わかりやすい解説 温祚王 (おんそおう)On-jo-wang 朝鮮,百済の始祖。伝説上の人物。《三国史記》が伝える百済の建国伝説によると,温祚王は高句麗の始祖朱蒙の第3子であったが,長兄で異母兄の類利を恐れ,兄の沸流とともに扶余の地を逃れて南下し,漢山に至った。沸流は弥鄒忽に居を定め,温祚は慰礼城に都して国号を十済とした。ときに紀元前18年であったという。その後沸流が死ぬと,温祚はその民をあわせ,国号を百済とし,扶余氏を名のった,と伝えられている。扶余族の南下によって百済の国家が形成されたことを反映した建国伝説である。なお百済の始祖については,《三国史記》の他の所伝には沸流とあるなど必ずしも一定しない。執筆者:木村 誠 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by