三国史記(読み)サンゴクシキ

デジタル大辞泉 「三国史記」の意味・読み・例文・類語

さんごくしき【三国史記】

朝鮮歴史書。50巻。高麗金富軾きんふしょくら編。1145年成立新羅しらぎ百済くだら高句麗こうくり歴史紀伝体で記したもので、朝鮮の歴史を体系的に述べた最初の書。

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精選版 日本国語大辞典 「三国史記」の意味・読み・例文・類語

さんごくしき【三国史記】

  1. 朝鮮の史書。五〇巻。金富軾(ふしょく)らが編纂。高麗仁宗二三年(一一四五)成立。新羅高句麗百済三国の歴史を紀伝で記す。官撰で現存最古の三国時代に関する唯一正史で、朝鮮古代史研究に貴重な資料を提供している。特に地理志の古地名は言語学上重要。

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改訂新版 世界大百科事典 「三国史記」の意味・わかりやすい解説

三国史記 (さんごくしき)

朝鮮古代の新羅,高句麗,百済3国に関する歴史書。1145年に金富軾らが編纂した官撰書。全50巻で,新羅本紀(1~12),高句麗本紀(13~22),百済本紀(23~28),年表(29~31),雑志(32~40),列伝(41~50)よりなる。構成は《漢書》など中国正史に準じ,記事は4世紀後半以後に編纂された各種の民族史料だけでなく,中国史料も多い。三国時代の歴史書は,高麗時代に数回編纂されたが,本書と《三国遺事》のほかはすべて散逸し,本書が現存最古のものとなった。1010年以前編纂の旧〈三国史〉は高句麗史を中心としていたが,金富軾は新羅王室の後裔であったため,三国時代における新羅王朝の正統性と,高麗王朝との密接な関係とを主張した。本書は朝鮮古代の歴史だけでなく,諸文化の研究の基本資料でもある。版本では,末尾の7巻のみであるが,高麗末期刊行の誠庵本が発見された。完本の版本では正徳本が,活字本では朝鮮史学会本第3版(1973)が最良である。
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百科事典マイペディア 「三国史記」の意味・わかりやすい解説

三国史記【さんごくしき】

現存最古の古代朝鮮の官撰の歴史書。50巻。1145年,高麗の17代仁宗が,中国の正史編纂(へんさん)を先蹤として,金富軾〔1075-1151〕らに命じて編纂させたもの。前57年の新羅始祖朴赫居世(ぼくかくきょせい)の即位から約1000年を描く。新羅(12巻),高句麗(10巻),百済(6巻)のそれぞれの本紀と年表(3巻)・雑志(9巻)・列伝(10巻)からなる整然とした構成を持つ。→三国遺事
→関連項目コムンゴ(玄琴)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三国史記」の意味・わかりやすい解説

三国史記
さんごくしき

朝鮮の新羅(しらぎ)、高句麗(こうくり)、百済(くだら)三国の歴史を記した書籍。朝鮮現存最古の歴史書で、古代研究の基本史料。高麗(こうらい)、仁宗(じんそう)の命を受け、金富軾(きんふしょく)を中心に10名の史官が編修。1145年に進上。これ以前にもいまに伝わらない「三国史」があり、それを基にして補完したものと考えられる。金富軾が新羅系で、新羅中心史観でまとめられたとされるが、三国を対等に本紀で扱っている。本紀は新羅が12巻、高句麗10巻、百済6巻で、新羅の分量が多いのは存続年代からみて当然といえる。ほか年表3巻、地理・職官など志が9巻、金庾信(きんゆしん)、蓋蘇文(がいそぶん)、弓裔(きゅうえい)など列伝が10巻、計50巻からなる。完本としては李朝(りちょう)中宗代(1506~44)に慶州で刊行された木版本が現存最古のもので、その影印本が流布している。

[田中俊明]

『金思燁訳『完訳三国史記』上下(1980、81・六興出版)』『井上秀雄訳注『三国史記Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』(平凡社・東洋文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三国史記」の意味・わかりやすい解説

三国史記
さんごくしき
Samguk-sagi

朝鮮,古代三国 (新羅,高句麗,百済) に関する唯一の体系的史書。高麗時代の仁宗 23 (1145) 年,金富軾らが撰上。現存最古の板本としては中宗7 (1512) 年の慶州重刊本がある。司馬遷の『史記』の紀伝体の形式にならい,全 50巻。「新羅本紀」 (1~12巻) ,「高句麗本紀」 (13~22巻) ,「百済本紀」 (23~28巻) ,「年表」 (29~31巻) ,「志類」 (32~40巻) ,「列伝」 (41~50巻) から成るが,原史料が散逸したためか,「百済本紀」は貧弱である。「新羅本記」は充実しており,「高句麗本紀」には興味深い記事が多い。中国史料の転用が少くないが,古代朝鮮の歴史および広義の文化史を研究するために不可欠の基本的文献とされている。慶州刊本は 1964年学習院東洋文化研究所から影印刊行された。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「三国史記」の解説

三国史記
さんごくしき

高麗の宰相金富軾(きんふしょく)が仁宗の命をうけて,1145年に新羅(しらぎ)・高句麗・百済(くだら)の歴史を紀伝体で編纂した現存最古の朝鮮の正史。50巻。高麗の初期には高句麗を中心とする「旧三国史」とよぶ史書があったが,政治的立場から金富軾は新羅史中心に改編したとされる。固有の史料のほか,中国史書から朝鮮関係記事を多く借用しており,慎重な史料批判が必要。現存最古の刊本は1512年版だが,一部分ながら高麗末期の刊本も伝存。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「三国史記」の解説

『三国史記』(さんごくしき)

朝鮮の三国(新羅百済高句麗)時代に関する現存最古の体系的史書。50巻。高麗(こうらい)の金富軾(きんふしょく)(1075~1151)らの編。

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旺文社世界史事典 三訂版 「三国史記」の解説

三国史記
さんごくしき

新羅 (しんら) ・高句麗 (こうくり) ・百済 (ひやくさい) を扱った体系的歴史書
1145年高麗 (こうらい) の金富軾 (きんふしよく) らが仁宗の命を受け,三国の歴史を正史形式の紀伝体に撰述したもので,50巻からなり,三国関係の最古の史籍。補遺的なものに高麗僧一然 (いちねん) (1206〜89)の著書『三国遺事』5巻がある。

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旺文社日本史事典 三訂版 「三国史記」の解説

三国史記
さんごくしき

朝鮮三国(新羅 (しらぎ) ・高句麗 (こうくり) ・百済 (くだら) )時代の史書で,朝鮮における現存最古の正史
1145年成立。50巻。編者は高麗の金富軾 (きんふしよく) 。紀伝体で,新羅本紀・高句麗本紀・百済本紀・年表・雑志・列伝などからなる。

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